商社のしたたかさ

一般紙の経済記者はもう少し、勉強して欲しいものです。
日本国の経常収支は貿易だけではない。とも、円高のメリットをよく考えるベキだ。とも書いてきた。なぜか。簡単で、日本の新聞は余りにも古典的。貿易収支が赤字になれば、国が立ち行かない。円高になれば、製造業はすべて海外移転だ。と報じるメディアは、余りにも国際経済に疎いからである。
有能な人材が揃う新聞社の経済記者を掴まえて、疎いなどとは、失礼な話であるが、では、日本の大手商社7社の第三四半期決算で、海外子会社などから受け取る配当金が純益が1兆円を超え過去最高になったことを報じたのは日経だけ。一般紙は報じない。なぜか。
理由は二点。配当収入つまり、経常収支の所得収支を認めたくないと、思っているからだ。利益は汗水垂らして稼ぐもの。配当収入なんて、まっとうなビジネスだと思いたくない。むしろ不遜だぐらいに思い込んでいる。
もう一つは商社が円高を追い風に、海外投資を加速させ、今期3兆2千億円。円高が顕著になった08年の2兆3千億円を大きく上回ったことなど、全く関心がないからである。日経新聞に「商社5社、純利益最高」と報じているのにも関わらず、一般紙は一行も書かない。なぜかと、不思議に思ったからである。
考えてみて欲しい。日本の製造業が花開いたのは、規格大量生産の製品を廉価で大量に輸出できたからである。日本が経済は一流、政治は三流といわれた高度経済成長期、日本の繁栄に最も貢献したのは海外進出を強め日本製品を売りまくった商社です。
しかし、グローバル化する経済で、海外との取引を仲介する商社の口銭ビジネスは衰退。新たなビジネスモデルを海外でのネットワークを生かし資源権益、インフラ投資、新興国投資などを増やし海外投資で稼ぐモデルに転換。その成果が花開いたといえるでしょう。
私は、商社と共に、証券、銀行、保険など日本の金融機関が海外投資を強めるなどして、所得収支を稼いで欲しいと思っている。それには、新聞が、古典的な経済に固執しないで、彼らの、海外進出を後押しして欲しいと思う。
商社の純利益最高に、この国の経常収支改善を夢見るのは、不遜だろうか?
口はばったいのだが、新聞の経済記者にはもう少し、勉強して欲しいと思う。Goto

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