天皇即位礼正殿の儀がもたらした福音。
「天皇陛下即位礼正殿の儀」に伴い来日したリトアニアの
ギターナス・ナウセーダ大統領が、24日岐阜県を訪問した。
現職の国家元首が県内を公式訪問するのは、初めてのことです。
リトアニアと岐阜。どんなご縁があるのだろうか。
訪問先は岐阜県の山間、八百津町です。
岐阜県を訪れる海外からの観光客、一番多いのは台湾、中国ですが
3番目に多い国といってよいのかどうか判断に迷うのですが、
イスラエルからと世界中のユダヤ人です。年間1万人以上に上ります。
彼らが訪問するのが、八百津町にある「人道の丘公園」と「杉原千畝記念館」です。
ご存知の方も多いとおもいますが、杉原千畝は第二次世界大戦中、リトアニアの
領事代理を務めていました。
当時、ドイツナチスのユダヤ人への弾圧はヨーロッパ全体に広がりました。
北欧三国に暮らすユダヤ人たちにも、その魔の手は伸び、危機的状況に。
「アンネの日記」を思い起こしてもらえばイメージが湧くと思います。
リトアニアから逃れるすべは、ロシアシベリア鉄道を使って、日本に渡り、
米国を始め他国へ向かうことです。それには「日本をトランジット」する
「ビザ」が必要です。ユダヤ人たちは日本領事館へ押し掛けました。
ヨーロッパの戦況は激しさを増し、リトアニア領事館にも退去命令が。
杉原千畝は、本国外務省の許可を待たず、縋るユダヤ人たちに「ビザを発給」しました。
それが、シンドラーのリストと並んで、ユダヤ人たちが人道主義を貫いたと、
称賛する「杉原千畝命のビザ」です。
その杉原の生誕地が岐阜県の八百津町です。
いまから、数えて、4代前の荒井正義町長が、杉原千畝の勇気ある英断を讃え、
八百津町に「人道の丘」を建設しました。
私は荒井町長とイスラエルを尋ね、ビザによって、助けられた人たちと交流、
杉原が書いた通行許可証によって、6000人以上のユダヤ人が救われた話を
夜を徹して聞いたものです。
そうなんです。「即位礼正殿の儀」にイスラエルの代表者が「人道の丘」を
尋ねるなら、そうかと思うのですが。なぜ、リトアニアの大統領が、
ユダヤ人の聖地ともいえる八百津町に?
理由は岐阜県が杉原千畝を顕彰し、彼の功績を末代に残すには、
リトアニアに現存する旧日本領事館を保存すべきだと支援を惜しまなかったからです。
ナウセーダ大統領は、人道の丘公園にみずからが考案したメッセージを
プレートに刻み、杉原千畝の遺徳を偲んだ。
大統領は「岐阜県のおかげで杉原は両国友好の象徴にもなっている。この象徴的な
絆を通じて更なる交流を深めていきたい」と。
プレートには「すべての人々に平和と調和を」と日本語、リトアニア語、英語で綴られた。
大統領の岐阜訪問によって岐阜とリトアニア、日本とリトアニアの関係が一層深まったことは、「即位礼正殿の儀」のおかげではないでしょうか。Goto
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