ドイツはブレずに脱原発に舵を切っています。
ちょっとびっくりです。いや、かなり考えさせられます。
私はこのブログでも、日本にある全ての原発を稼働させるべき。
それこそが沈み行くと揶揄される日本丸が反転し再び陽が昇る道ではないかと
訴えています。
この国の貿易収支、22ヶ月連続で赤字です。
所得収支でなんとか屋根を葺いていますので、国際収支は黒字を保っています。
ましてや、エネルギー資源を化石燃料に頼る現状です。ロシアのウクライナ侵略のメドが立たない現状で、高騰を続ける原油が貿易収支を圧迫しています。
その出血を抑えるには日本にある42基の原発を全て稼働させる以外にないのではと思ってきました。今でも本気でそう思っています。
でも、その考え方って、安直ではないか。あまりにも即物的ではないかと、
心の隅では思い続けています。いかに困難であろうと、エネルギーを原発に委ねることが果たして正しいのだろうか?もっと安全効率的なクリーンエネルギーを真剣に模索すべきなのではないか。そんな葛藤があります。
福島の原発事故を受け・・・EUの盟主・ドイツのメルケル前首相が、
脱原発に舵を切りました。隣のフランスは推進派。国境を接している両国で
違う方針を出しても、結局は同じではないか。冷ややかに思っていました。
ロシアのウクライナ侵略でドイツが天然ガスのパイプをロシアに絞められ、
慌てて、廃炉に向け停止してしていた原発を再稼働させたときには、
ほらね・・そうでしょう。脱原発は無理ではと思ったものです。
でもです。この4月。ドイツは全ての原発の稼働を止めました。
エネルギー不足が懸念される逆風下で、あえて脱原発を完遂しました。
なぜだ・・・考えさせられます。
誰が考えても本音では脱原発は不可逆です。
ショルツ首相は「原子力は将来にわたる選択肢ではない。私個人、そして
首相としての信念だ」と脱原発に踏み切ることにブレがありません。
欧州の盟主としてロシアに屈しない。政治メッセージが背景にあること。
外交・安全の観点から、脱原発に踏み切らねばドイツには「エネルギー不安がある」とみくびられる。ロシアに弱みは見せられぬ・・
自らを律して脱ロシア・脱原発を追えばEU諸国への無言の圧力になります。
東欧などは、燃料や原子力技術をロシアに頼っています。でもドイツはロシアになんか頼らないとなるとドイツの権威は上がります。
ドイツは中道左派の連立政権です。反核・平和運動に携わった議員が多い。
足元では軍拡に転じねばならない。軍縮は遠のきました。脱原発を実現しないと
支持層に見放される・・・そんな内政への思惑もあるようです。
政治的な意図とは別に、私が考えさせられるのは・・・
核分裂はドイツの科学者オットー・ハーンが発見しました。だからドイツにとっては自分たちの技術です。でも自分たちの技術なのに制御できない。この現実、
この不安が、ソ連時代のチェルノブイリ原発事故であり、福島だと、ドイツの人たちが考えていることです。
国民の間では原発延命派が増えていたのですが、彼らとて、新増設を含む原発ルネサンスには反対が根底にあるようです。ドイツが脱原発にこのまま突っ走れば工業力が保てるのか。万が一ドイツが沈んでしまえば、欧州経済の担い手がいなくなってしまいます・・・
それでも、脱原発に踏み切るドイツ政権。
たとえドグマ的あっても理想を掲げ、実現を目指すのがドイツ流。
背水の陣で再生可能なエネルギーの相互供給を進めるドイツ政権の
覚悟が妙に胸に沁みます。
日本の政治にそこまでの覚悟があるのかとは思いますが・・
その前に、私の原発再稼働の考えが如何に生ぬるいか。
中途半端でいい加減なのか、もう一度よく考えてみます。Goto
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