ドロップ

さらば缶入りドロップ・・・ありがとう。感謝です。
小学校の四年生でした。突然顔に発疹が出て、高熱が続き全身にも・・・
診断は法定伝染病・猩紅熱。今では抗生物質で比較的容易に完治するのですが。。
60年以上前の話です。親父殿は新聞記者で単身赴任、看護婦だった母親と協議したのでしょう。
本来ならば、伝染病棟への隔離なんでしょうが、自宅療養の道を選びました・・
それから、高熱が続き半年余り、学校に行けないのは当然ですが、母親以外誰とも会えず・・
月に一度ぐらいの割だったでしょうか・・・親父殿が手土産に持ち帰ったのが
缶入りのドロップ。果汁入りで橙色はみかん、紫っぽいのはぶどう。白がハッカで
半透明がりんご・・黄色がレモン味、甘いものがあまりない時代です。まだサッカリンが横行。
「そらオマエの好きなドロップだぞ」と渡されると、久々にみる父親の顔と共に、
嬉しいものでした。
一日一粒づつ。缶を振って、ドロップが淵に当たる音が妙に心地よくって、
音でドロップの種類がわかったものです。音がしなくなる頃には大好きな親父が帰ってくると、
枕元に置いて、いつも振っていたのを思い出します。そのドロップが猩紅熱との
戦いに打ち勝つことができたエネルギー源だったのかもしれません。
今にして思えば、歯が虫歯まるけで、今もって歯医者にお世話になっているのは・・
そのドロップのせいだったのではと思うと笑っちゃいます。
その後は、どうでしょうか・・・学校に戻るようになって、ドロップとは縁切りでした。
もう何十年か前になりますか・・・百円ショップに行った折、
そこで、これって、あの時のドロップだと懐かしく手にしたことがあります。
駄菓子屋がなくなり、どこで売っているかも興味がなかったのですが・・
100円とは安過ぎないかと思って買ったものです。缶を振ってはみたものの、全部は
食べきれなかった記憶です。
でです・・・その赤い缶に入った「さくま式・ドロップ」(正式名称)が
来年の1月20日・製造/販売する佐久間製菓の廃業するに伴い、発売が停止になるそうです。
理由はコロナ禍で販売数が落ち込み、原材料の急騰が重なったからだそうです。
発売以来114年。私のようなものでも、思い起こすことができる・・銘菓です。
もう口に入らないとなると淋しい思いですが、よくぞここまで頑張ってくれました。
ありがとうございますと、お礼が言いたい。どこかで買い求め、仏壇に・・Goto

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