209X年のビール

新聞はなぜ、こんな記事を掲載して、読者を減らすのか?

地球温暖化の影響で、北海道の大麦収穫が減少しているという。農水省の統計では、2023年の国内生産は4万2000トン、輸入量は47万3000トン。ビールの原材料は輸入依存が高く、主産地の北海道や北関東も打撃を受ければ価格上昇は避けられない。ホップの北限は北緯55度で、日本では北海道が該当する。冷涼な気候を必要とする作物にとって温暖化は深刻な問題である。

とはいえ、毎日新聞が書き立てた「今世紀末、500ml当たり3.5ドル値上がりし、庶民はビールを飲めなくなる」という記事には違和感を覚える。
まるで北海道が40度を超す日が目前で、大麦もホップも壊滅するかのような筆致だ。ビール好きの私には理解できない。

だが人類は環境に合わせて作物を改良し、技術革新で逆境を乗り越えてきた。むしろ新たな品種開発や醸造技術が進み、未来には今より美味しいビールが誕生する可能性すらある。私は人間の知恵を信じたい。

実際、国内ビール市場は縮小傾向にある。日本人の酒類消費量は1994年をピークに減り続け、若年層の「ビール離れ」が顕著だ。市場を支えているのは40代以上の層であり、メーカー各社は糖質オフや機能性飲料といった新商品で需要喚起を図っている。温暖化による原材料不安よりも、むしろ消費構造の変化の方が喫緊の課題であろう。

一方で、新聞業界もまた逆風に晒されている。朝日新聞はかつて800万部を誇ったが、いまや350万部を割り込むと言われる。全国紙・地方紙を問わず発行部数は右肩下がりで、新聞購読率は国民の3割を切った。私のような新聞命の人間には、これ以上の凋落は見たくない。だが「庶民はビールを飲めなくなる」などと煽る記事を掲載していては、読者が気落ちし購読をやめるのも無理はない。

新聞人よ、しっかりせい。必要なのは恐怖を煽る紙面ではなく、読者の暮らしに寄り添い、未来に希望を灯す記事だ。ビールをめぐる温暖化の懸念を伝えるにしても、改良や技術開発の可能性を示し、人間の歩みを信じる視点を添えてほしい。読者はそれを求めている。

庶民の楽しみであるビールがこの先どうなるのか。その問いをきっかけに、人類の知恵の力を信じ、新聞もまた再生の道を探るべきだ。諦めてはならない。私は強いエールを送る。Goto

追伸
サントリー。第三のビールとして人気の高いブランド。「金麦」を
来年10月から、ビールに格上げすると発表した。
ビールは来秋・酒税が下がる。ビール離れ回帰の動きが期待される。

知名度の高い「金麦」ブランドを麦芽比率を50%以上にすることで、
税率アップ分のみ価格を転嫁する方針で「低価格ビール」にすると。
メーカーの戦略に気候変動への対応はまだまだ、遠い話である。

コメント

  1. YASU ICHI より:

    中津川で、会社勤めを終えた人たちが数年かけてコメの品種改良に成功した。
    温暖化に対応した品種との事です。もっと良い品種を求めて活動を進めるそうです。
    勤めていた先は全くの異業種の人たちの集まりだそうです。
    最近の夕方の情報番組で観た覚えがあります。
    新聞記事でだけで一喜一憂することは危険ですね

    知恵を出し合って進化していくのが人間社会ですね