ノーベル賞受賞、北川進教授に哲学を学ぶ。
またまた日本人がノーベル賞受賞です。嬉しいですねぇ。
その人となりが学べる。
京大の北川進特別教授がノーベル化学賞を受賞した。「金属有機構造体」という、多孔性の物質を開発した功績によるものだという。
空気中の分子を選び、吸着し、エネルギーに変える。まるで夢物語のようだが、もし実現すれば、人類は汚染を食い止め、エネルギー問題の新たな扉を開くことになる。
私には、その理屈は難解だ。だが北川教授の「何もないものに意味を見いだす」という着想には、人間的な深みを感じる。
「孔」とは空虚、つまり“無”である。だが、その“無”を受け入れ、そこに意味を見いだす――それはまさに、東洋思想に通じる「無中に有を観る」発想だ。
物質を詰めるのではなく、空間を活かす。この柔軟な心の在り方が、新たな価値を生むのである。なぜか、私にびんびん来る。
教授が引用したパスツールの言葉――
「幸運は準備された心に宿る」。
この一句は、科学者だけでなく、すべての人間への金言であろう。
では、“準備された心”とは何か。
それは、結果を焦らず、静かに時を待つ心であり、己を磨き、整える姿勢である。何かを得ようとする前に、まず自分の器を広げる。
その鍛錬の積み重ねが、幸運という天の機微を受け取る準備になるのだ。
権力を求める政治家であれ、成功を夢見る経営者であれ、地位や名誉は「準備なき心」に宿るものではない。権力を得て何を為すか。成功して何を残すか。そこを考え、修め、心を整えること――それが本当の準備である。
北川教授の受賞は、まさにその象徴だ。長年の探究を通して、静かに己を磨き続けた人にのみ、運命の女神は微笑む。幸運とは天から降るものではなく、修養の果実として結ぶものなのだ。
「幸運は準備された心に宿る」
最近、修養不足の私です。
この言葉を、人生の座右に置きたい。Goto
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