第30回・国連気候変動枠組み条約国際会議(COP30)に思う。
この冬は暖冬かと思いきや、11月下旬ともなると、この地方もそこそこ冷えてきた。週間予報で「例年並みの寒さ」と報じられると、どこかホッとする。やはり地球温暖化が、心のどこかで気に掛かっているのだろう。今回のテーマは、その温暖化した気温を本当に「下げることができるのか?」である。
実は私は、夏の猛暑でも「暑い」と言わないようにしている。冬も「寒い」と言わないように。言ったところで、どうにもならないことが変わるわけでもない。精神が緩むだけだ。寒さが嫌なら極暖ヒートでも着れば良い。そんな“偏屈ジジィ”であるが、気温の上下をやたら口にするのは、人間の小ささの証左だと思っている。(思っているだけだが)
さて、私の持論を先に述べておく。地球温暖化を現状を国際会議で防げるはずがない。化石燃料を燃やした程度で地球全体の気温が乱高下するほど、大自然はヤワではない。地球は数十億年のスパンで氷河期と温暖期を繰り返してきた。
いまはその「温暖期」にたまたま当たっているだけである。だから温暖化を止めるなど、そもそも不可能。――これが私の持論だ。
もちろん、こんな思い込みの私論だけで済む話ではない。
国際社会は真面目に温暖化対策に取り組んでいる。
2015年のパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を「2度より低く、1.5度に抑える」と定めた。ところが現実は、2024年にすでに1.55度上昇。今世紀末は2.3〜2.5度に達するという。あと5〜10年で1.5度突破は避けられない、と国連環境計画は言う。
1992年の気候変動枠組条約は「温室効果ガス濃度の安定化」を究極の目標に掲げた。だが最近になり濃度が安定しても海に蓄えられた余剰エネルギーの“時差”で、温暖化は数世紀続くことが分かってきたという。
CO2をゼロ排出にすれば、気温上昇は止まる――との説明もあるが、本当にそうか?と疑う。なによりゼロ排出など現実的に不可能だ。にもかかわらず、COP30で「ゼロ」を前提に議論している。乱暴に言えば、できもしないことに血道を上げているように見える。
もし本気で温暖化を止めたいなら、化石燃料を完全に禁止し、原発のフル活用を選択するしかない。ガソリン車も全面廃止、牛のゲップ(メタン)も問題だから家畜も減らす? そんなこと、どこの国も実現できるはずがない。
近年は「オーバーシュート」という考え方が主流だ。つまり、いったん気温上昇を許容し、大気からCO2を直接取り除く「ネットネガティブ」で逆に気温を下げるという。しかし、濃度を下げられるかどうかも怪しいのに、オーバーシュートとは勇ましい。
ではどうするか。私は思う。温暖化を止めたいと言うなら、ごちゃごちゃ議論していないで、技術開発に資本を投下するしかない。大規模植林も、熱帯雨林保護も、政治的・経済的に限界がある。となると、CO2を吸収・固定化する新素材、新技術の開発しか残っていない。これなら人間の叡智が勝負できる。
結局、人間が温暖化を作り出しているという国連の考えが正しいのなら、研究者が思い切り研究できる環境をつくる。それこそが唯一の道だ。
温暖化は化石燃料を燃やすことが原因だとするならばだが。
暑い寒いと言わない私の信条からすれば、やるべきことを淡々とやるだけである。Goto


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