金華山の凛とした雪景色に思う。
この地方、この冬、一番の雪になった。岐阜市内も7cmの積雪。
故郷の山並み、木立が葉を落し、北風に身を縮め、じ〜と春を待つ。冬山は眠ると言う。
間断なく降りしきる雪が、樹木に纏わり付き、氷の花を咲かせ、静かに佇む。
この寒波に耐えてこそ、芽を吹き笑う春山を迎えることができる。葉を茂らせ羽ばたく滴るような夏山と出会い。実に溢れ辺りを粧う秋山が訪れる。
私は山国、岐阜に生まれ育った。温暖化が原因なのか?枯れ木が目立ち、荒れる山の姿を眺め、心を痛める一人。それでも、凛として、自然の過酷な仕打ちに耐えて眠る故郷の冬山に感謝する。
海にも景色はあるのだろうか?私は山の四季を、笑う、滴る、粧う、眠ると表現するが、海の季節の景色を何んと表すんだろう。日本海の荒波と、のたりと感じる瀬戸内等と、それぞれに違うのだろうか。
時、期せずして日本の二大新聞。読売新聞は創刊135周年記念の一環として、新時代の景観を選定する「平成百景」コンテストの掲載を始めた。
朝日新聞は山田洋次監督の選で人と自然、あふれる物語(創刊130周年記念事業・森林文化協会創立記念事業)「にほんの里100選」を掲載した。
古代より、この国は、西洋から「黄金の国ジャパング」といわれた美しい国。現代も尚、こんな美しいところが残っているのかと、紙面を飾る写真に感動させられつつ、なぜ、今年のこの時期に、日本の景観の企画なのかと、訝しく思うが。
景気の悪化は、ややもすると、人は皆、自分の足元を見つめるに精一杯で、周りの自然や風景に目が行く余裕がなくなる。そんな時、チョッピリ肩の力を抜いて、目線を上げれば、そこには、故郷の山河が、季節の装いを凝らし、私たちを静かに受け入れる。
殺伐とした時代だからこそ、この国の美しい自然や風景を眺めて、心を落ち着けろ、との、示唆であるとするならば、それは、新聞の凛とした矜持。まるで樹氷を咲かせる冬山のようだと思う。
雪化粧して、我が街の中心に凛と構える金華山に、頭を垂れ、合掌す。
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読売新聞<平成百景> 朝日新聞<にほんの里100選>
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