放送局考

経営改善は、まず視聴者のアップから・・・・・・・・。
チョッピリ嬉しい話だが、業界では低迷を続けていた放送局(キー局)のCM収入(スポットCM)が、このところ、増えてきたと報じられた。広告は景気のバロメーター。本当なら嬉しい・・・・・・。
しかし、先ごろ発表された放送局キー5局(東京の放送局)の上半期決算は軒並みに減収減益。果たして、スポットCMが増えれば問題が解決するのかと、言えば?どうもそうではなさそうな気が・・・・・・。
たとえば、この四月から、各局がリタイアした団塊世代を狙ってスタートした夕方(17から20時)の報道番組。放送局の命は視聴率。その視聴率が何処も振るわない。なぜなのか?
私は、この答えに放送局の減収減益の本質があると思う・・・。まず、団塊世代が夕食時食卓を囲んでテレビの前に座ると思うか?そんなライフスタイルだと考えているか?一体誰が、そう決めているのか?
多分、放送局の要である編成局だろう。私の知る範囲では、放送局の編成部は、最も優秀な人材が揃っていると聞く。彼らが、国民のライフスタイルと番組編成をそう考えているなら。彼らの感覚が、狂っているとしか思えない。
いや、いまだに官僚が国民の平均家庭を、夫婦子供二人の四人家族で、奥さんは専業主婦(戦後の成長期の理想の家庭モデル)で考えているのと全く同じ発想で、60歳を過ぎれば平日は夕方に食卓を囲んで、報道番組を見ると思っている。(信じられない感覚です)
つまり、放送局隆盛時代(昭和50年代)の成功体験から抜け出せず、時代の変化。社会の変化に付いていけないのである。放送局と聞くと、「情報」を扱う企業、時代の最先端の企業だと想像するが、実は許認可に頼る陳腐な企業に成り下がっているのです。
だから、ゴールデンタイムは若者がテレビを独占する。だからお笑いのバカ番組を放送する、となる。団塊世代が大量にリタイアすれば、夕方は政治好きな高齢者がテレビの前に座る。だから、報道番組を放送すれば視聴率が取れる。となるわけです。
つまり、放送局の収入源であるCM収入が落ちるのは、不況も多少は影響しているでしょうが、本質は、国民のライフスタイルとテレビ番組が合致していない事に気付いていないことにあるのです。
もう少し辛らつに言えば、放送局の驕りが、視聴者を見失ってしまっているのです。
各局の上半期の決算を見ますと、各局とも本業外の収入を得るのに四苦八苦しているのが読み取れます。本業がダメなら、他に収入を求める。出来もしないことに熱くなる。映画やアニメのDVD、イベントぐらいは分かりますが、不動産とか、カタログ通販、飲食にも力を入れている。
そんなのは、無理ですよ。所詮は、ぬるま湯人種なんですから・・・・・・・・。失礼。
企業は収益を上げてこそ、企業です。増益のためには何でもありでしょう。しかし、放送局は、公共電波使用の許認可を受けて成り立っている事業です。そのことを忘れないでもらいたい。
不況の原因は、人々のマインドが大きく左右します。放送局が、営利主義に走るのも致し方ないご時勢ですが、まずは、国民が納得する良質な番組(国民の心を豊かにする)を提供し、国民の元気に寄与すると言う、本来の使命を貫く気概が欲しいものです。
それが、視聴者のアップにつながり、テレビスポットCMが増え、放送局の経営改善になるのではと、思います。・・・・・・・・批判覚悟で放送局について考えてみました。                                                                         Goto

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