久々・・朝日出版の放った一撃・・・
私の机の上・片隅に読み掛けの本が積んであります。
どうせ読まないのだから、廃棄するか、本棚にと思うのですが・・
なぜか。そこに置いておきたい。ふとした拍子に手に取りたいからです。
その中に多少色褪せたが・・週刊誌(6/9日号)が一冊あります。
発行日から3ヶ月以上経ったのです。処分すれば良いのですが、
どうもそんな気がしない。この週刊誌だけは・・・宝物のような気がするから。
いや、もったいぶっているのではありません。
表紙には「101年間、ご愛読ありがとうございました」と綴られています。
そうなのです。週刊朝日の休刊・特別増大号です。
敢えて休刊という編集者たちの未練と申しますか「なぜ廃刊なのだ」と
歯軋り噛む無念。紙のメディアの衰退、その時代に立ち会わなければならなかった忸怩たる思いが、表紙からも記事からもヒシヒシと伝わってきます。
発行所は朝日新聞ではありませんが、100%子会社・朝日新聞出版社。
新聞は紙のメディアの王様です。週刊朝日の休刊は隆盛を誇った朝日新聞社
凋落の象徴のような気がして・・・この休刊記念号が捨てられないのです。
ですから・・・机の片隅に置いているのです。
偶然なんでしょう・・・巻頭の写真記事に・・時のひと。最も旬な人である
東山紀之さんが。09年新年合併号から翌年4月16日号まで、週刊朝日にエッセー「これまでと、これから」を連載したのが東山さん。アイドルが率直に
生い立ちや思いを明らかにしていると話題を呼び、10年には朝日出版社から
「カワサキ・キッド」として上梓されました・・・休刊にあたって、当時、
そして今の気持ちを語っています。
そこには「自分にウソのない生き方をしたい」・・これからは事務所の
考えに縛られず、自分の考えや意見を出していかねばならない・・
組織の人間である以上、制約もありますが、客観的な見地に立ち、
ダメなものはダメと、はっきり言っていかないといけないという
思いをいま持っている・・・そしてそれを行動で示していくつもりです・・
と語っています。
いま、最も社会的な問題となっているジャニー喜多川の性被害事件で、
東山さんが「渦中の栗」を拾い社長となり、逃げず難題に立ち向かっています。
その予兆は週刊朝日の休刊記念号に隠されていたのではないかと思えてなりません。憶測ですが・・・
朝日新聞にこんな記事が掲載されました。
朝日新聞出版は5日、科学雑誌「Newton」を発行する出版社「ニュートンプレス」の全株式を取得したと発表。同社は民事再生を経て債務を返済中で
今後は朝日新聞グループに加わることになったと・・・
Newtonは1981年創刊の月刊誌です。
「科学の面白さを分かりやすく伝える」との理念のもと・・
多くの科学ファンを持ちます。私もページを捲ったことがあります。
今後は朝日出版が営業や販売をサポート、雑誌書籍の売上増、新規事業を
立ち上げるとしています。Newtonの編集方針はこのまま維持するとのこと。
出版業界は冬の時代だと言われます。なぜ、この時期に朝日出版社がニュートンプレスを買収したのか。それも債務返済中の、疑問が残ります。
でも、私はこう思いたい。
週刊朝日は廃刊したが、出版物発行への思いは沸々と湧き上がっている。
科学を面白くする雑誌の灯を消してたまるか・・そんな出版人・編集者の
心意気に火がついたのではないでしょうか。そうであって欲しい。
もちろん。経営の話です。本質は別のところにあるのでしょう。
でも親会社・朝日新聞の許可なしには買収はあり得ません。
新聞業界・購読者は減少の一途、事業は縮小に縮小。経費削減・
コストカットの日常、そして唯一の財産である記者の数まで減らす
状況です。そんな折・・Newtonの買収は痛快な話じゃないですか。
がんばれ・・・朝日出版社・・・Goto
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