円弱時代

自動車以外の基幹産業が全く育っていないのはなぜか?

東京為替市場の円相場、ドルに対して下落。一時1ドル=151円80銭に。
昨年の最安値である151円94銭を下回れば1990年以来、約33年ぶりの
円安・ドル高水準になります。11年秋に1ドル=75円台の最高値を記録した日から比べると・・・落日の思いです。

経済、それも為替の話はとても複雑で難しい。
素人ではよくわかりません。なぜ円安になるのか。
その影響はどうなるのか。いくつかの平易な情報から考えてみます。
聞き齧りですから・・・中途半端なきらいがあります。お許しを。

円安の要素は大きく分けて二つです。
一つは景気を下支えしようと金融緩和政策を続ける日銀とインフレ抑制の
ために政策金利を引き上げるFRB(米連邦準備制度理事会)の方向性の
違いが日米の金利格差が大きく開き、高金利のドルへとお金がシフトすること。

もう一つは貿易や海外投資に伴うお金のやり取りです。
輸出大国だった日本は多額の貿易黒字や投資に伴う利益を海外で得ていました。
そして稼いだ外貨を円に戻す動きは円安を相殺する役割を担っていました。

その円相場を巡る環境が変わり、原油などの高騰により輸入が増え、貿易赤字が当たり前になっています。それでも企業が海外で投資で稼いだ利益は、なお膨大になっています。このため海外との総合的なお金のやり取りを示す経常収支は黒字を保っています。

問題は海外投資で稼いだ利益が円に戻らなくなっていることです。
経営収支から外貨で保有していると見られる再投資収益や利子、配当金を差し引くと22年度は大幅な海外への資金流出になっています。それが二つ目の要因です。

とてもわかりにくいのですが・・・金利差だけでなく、貿易や投資の伴うお金のやり取りも円売り要因になる時代です。貿易や投資に伴うお金は、日本よりも成長期待が大きい海外にとどまることで、円が弱くなっています。
それが円安の要因です。

円安は何が問題なのか。
そもそもですが、円安になれば、輸出する製品の価格競争力を高めます。
国にとって有益です。最近の円安は輸入物価が大幅に上昇しているのに
輸出が増えません。輸出する日本製品が少ないのです。ですから「悪い円安」と言われています。日本に自動車以外に目立った基幹産業が育っていないのが問題です。

今後の相場はどうなるのか。
米国が利下げに転じると言われています。これ以上の円安は収まるのではと
言われています。専門家に言わせれば中長期的な相場動向に影響する貿易や投資に伴う円買いは限定的になるだろうと予想します。これ以上の円安はないだろうと。

政府や日銀はどうするのでしょうか。
鈴木財務相は「緊張感を持って市場を見ながら、万全の対応をしていく」と
円安進行を牽制します。急激な変動を止める目的で値動きと反対の売買注文を出す為替介入を実施する可能性はあります。

円弱時代は、輸出力が落ちている象徴です。
日本に国際的な競争力がなくなったことが一番の要因ってことになります。
ではどうするのか。まずは円弱について、その影響が、この国の将来にとって
どんなことになるのかを国民が理解することではないでしょうか。
あえて申せば・・・平和ボケかな。Goto

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