漆黒の闇に迫る覚悟を問う。
我がふるさと岐阜市唯一の観光資源、長良川の鵜飼。岐阜県は、その鵜飼を県重要無形民俗文化財に指定した。岐阜県57件目。
指定の理由は「鵜飼漁の本質を構成する伝統技術と道具をかたくなに守り伝えており、その民俗的価値はきわめて高い」としている。
往年は、既製服の街。商業都市として栄えた岐阜市も、昭和40年代をピークに、徐々に衰退。見る影もない惨状が続く。苦々しい思いにさいなまれている。この街をこよなく愛する一人として、文化財指定は、賑わい創出の一環として、ありがたいと思う。
私の持論だが、地方活性の方途は、二つしかない。ひとつは地場産業の復興。もうひとつは、観光資源の活用。県が観光事業に力を入れる。「長良川の鵜飼」を文化財に指定して、「観光岐阜市」の呼び水にとの意図も痛いように分かる。
国も海外から観光客を誘致するために「観光庁」を設けるという。しかし、小さい政府が求められる時代。豆腐やじゃあるまいが、「庁」「庁」と何でも「庁」を設ければ、観光客が来まるとはとても、思えない。役人の権益を増やすだけ。
岐阜市も世界遺産に「長良川の鵜飼」を登録申請するんだそうだ。世界遺産も結構いい加減なもので、その基準もスッキリしないと聞く。登録されないよりはされたほうが良い。大いに期待はするが。
果たして、岐阜市民は「長良川の鵜飼」を大切に思い。慈しんでいるのか?1300年続く伝統の「この漁法」を守り続けたいと思っているのか?観光を岐阜市活性化の柱として、必要だと思い、産業だと考えているのか?私はとても、疑問だ。
雨の日の鵜飼。鵜匠はゴムの合羽にゴムの帽子。観光客から「あの格好は、何だ!」って怒りの声も聞こえる。とても烏帽子に腰蓑といった民俗文化財を守っているとは、恥ずかしくていえない。
さらに観光客は言う、「真っ暗な闇に幻想的なかがり火が燃え・・・・とパンフレットに書いてあるが、車の光が邪魔」「二度見るものでもないな」と。
さて、さて、鵜飼シーズンの鵜飼の始まる時間だけでも、会場周辺を真っ暗にして「漆黒の闇」を作る覚悟が市民にあるのか。と、問いたい。その覚悟がなければ、文化財指定も、世界遺産登録申請も、観光庁も、蟷螂の斧。
「偉そうに言うお前はどうなんだ」と問われれば、「漆黒の気分だ」と言わざるを得ない。
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