戦争体験を語り継ぐのは、新聞の大きな使命です。
まだ、早いのですが、終戦記念日の8/15を挟んで大々的に報じた戦争体験関連の新聞記事を総括して見たい。取り分け、中日新聞は朝日や毎日を完全に凌駕して圧巻でした。総じて各紙とも、例年にない力のいれようで、やはり、右傾化が影響しているのではと思えます。
問題は、それらの渾身の記事をどれだけの人が読んだのか。読んで欲しいと願う若者が目を止め真摯に向き合ってくれたのか。多分に素通りしてしまったのではないかと思うと、一抹の寂しさと不安を感じます。
感じた寂しさは、新聞編集人の矜恃が空回りしてしまっているのではとの寂しさ。そのことを承知で自己満足に陥っていないかとの寂しさです。不安は情報社会に生きているのに、必要な情報を入手できない人があまりにも多いこと。戦争体験を知ることは日本人として「精神の柱」を作ることだと思います。
国民にその柱が出来ていないと、表面的に報じられる近隣諸国の挑発に、過剰反応を示し、あらぬ方向に流されてしまいます。そんな、人が多くなるのではとの不安です。
明治大学の斎藤孝教授は、新聞を読むことと読書することについて「新聞を読めば情報を得るアンテナが立つ」。「書籍を通して偉大な先人の話を聞く作業である」読書を怠らなければ情報をちゃんと自分で手に入れ、それを比較検討して自分の意見が持てるようになると。自分の意見を持つこと、それが「精神の柱」だと。
この夏、紙面を飾った戦争体験記事、取材した記者諸氏と反戦への思想を明確に示した編集者に敬意を払うと同時に、その記事を頑張って読んだ読者にも敬意を払う。寂しさや不安は拭い去れないが。戦争体験の記事を読んだ若い読者達には「精神の柱」が養われたのだと信じたい。Goto
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