芸術家はカスミを食べて生きてはいけぬ。
文化度の低い私が取りあげる話題でもないのですが、
政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本的方針」(骨太の方針)に
「国内各地の文化財を観光に積極的に活用する取り組みを進める他、
美術品の売上をGDPの拡大に取り込む」ことが盛り込まれた。
観光産業に付随してだと思うのだが、美術分野を成長産業と位置づけ、
国内での美術品の取引を活発化する方針で内閣官房に「文化経済戦略特別チーム」を
設け、文化庁に加え経産省と外務省からも人材を集め美術品産業が本格化する。
予算措置も文化庁が「アート市場活性化事業」として5千万円を確保、
有望な若手作家の作品を集め、国内のみならず世界各地で展覧会の開催などを企画、
「稼ぐ文化への展開」を加速するという。
こうなりゃ・・・そうです。天下の朝日新聞が「文化で金儲けなんて
崇高なる文化を冒涜している」と・・・文化を担う美術品の「商品」としての側面を
重視を重視する考え方は美術関係者や作家から激しい反発を招くと・・・
早々に噛み付いている。あなたはどう思われますか?
世界の美術品市場は約7兆2千億円、世界の二大オークションでは100億を超える
落札が相次いでいるのだが、17年の日本市場は全体の4%足らずで、約2400億円と
美術品の売買は低調である。時流ですね。
私は二つの面から、この方針に賛成である。
新人芸術家の発掘には、市場の活発化は不可欠である。励みになる。新しい文化、芸術が育つ。
所蔵品の売買はマネーゲーム化するから、文化の流出につながるとの
批判は検討違いである。歴史的価値が数値化でき、文化意識が深まる。
敢えて言わずもがなだが。芸術家は霞を食べ生きているのではない。
自らの作品によって生計が立てば、更に価値ある作品が生まれる。
こんな批判もある。経済が行き詰まる中で、政府が伸びしろのある文化に
期待するのはわかるが、公正な調査機関を確立するなど、成熟したアート市場の
土台を固めないままでは、文化を壊したり否定することにつながりかねない。
その視点は分からぬではないが。そもそも文化とは生活様式である。
人間社会にとって必要な文化なら、どんなことがあろうと、生き残るのだが、
不要な文化は朽ち果てるモノだ。文化財で稼ぐことができるなら、
それはそれで、価値があるではないか。Goto
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