大いに期待するが、先ずは議員定数削減ができるかどうかだ。
高市新内閣が船出した。読売新聞の緊急全国世論調査では支持率七割を超え、久々に国民の期待を集める政権となった。政府・与党内には「好スタート」との声が広がる一方で、連立に踏み切った維新は「まだ何も実績を出していない、ご祝儀相場だ」と冷静だ。政治に浮かれムードは禁物、との自戒だろう。納得だ。
この内閣の最大の火種は維新との関係である。
松井一郎元代表は「首相や自民党の覚悟を見極める時期」と語り、閣外協力にとどまった。両党の政策合意の柱は、臨時国会での議員定数一割削減。比例区が対象とされるが、もし自民党が約束を履行できなければ連立離脱も辞さないという。
私は、自民党は何とか呑まざるを得まいと思う。だが、少数野党の反発は必至であり、メディアが後押しするだろう。激しい論戦が展開されよう。高市首相が数の力で押し切れるのか、あるいは調整に苦慮するのか――ここが政権の試金石となる。通常国会に持ち越せば、内閣の基盤は早くも揺らぐだろう。
注目すべきは、閣僚任命の際、首相が全員に「指示書」を手渡したことだ。そこに高市氏の覚悟がにじむ。中でも厚労相と財務相への指示が象徴的である。厚労相には、労働時間規制の緩和検討を命じた。これは、働き方改革と称して“働かない改革”を続けてきた流れに風穴を開ける一手であり、「働きたい改革」を進める姿勢に私は共感する。経済成長こそが物価高を打開する唯一の道である。
片山財務相にも期待がかかる。「財務省は国民生活よりも財政均衡を優先していると批判されるが、夢に繋がる予算をつくる省にリセットせよ」と訓示した。財務官僚出身の自らに厳しく、初心を貫いてほしい。ガソリン暫定税率の廃止を掲げ、年内に補助金を拡充して一リットル25円引き下げると明言した姿勢にも実務家らしい決意を感じる。
政治献金の見直しも課題だが、林総務相の手腕に期待したい。
結局のところ、政権の命運を握るのは、維新との合意事項――議員定数削減を実現できるかどうかに尽きる。
政治は約束を守ってこそ信頼を得る。言葉だけでなく、行動で示す政治へ。高市内閣がその原点を貫くなら、日本は政治的にも経済的にも、ようやく再出発できる。
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