維新、連立の真意

──改革の疾走と転倒の境界線ーー

10月21日、高市内閣が発足した。
先ずは日本初女性首相の誕生を祝したい。おめでとうございます。

自民党と日本維新の会の連立。戦後政治の大きな地殻変動である。
長らく公明党が果たしてきた“調整弁”の役割を、今度は維新が担う。

とはいえ、維新は宗教団体や労組など特定の支持母体を持たない。
大阪を原点に「身を切る改革」を掲げてきた政党だ。

言い換えれば、自民党の中にもう一つの自民党が入り込んだとも言える。

維新が求めた政策合意の柱は明快だ。議員定数削減。センターピンと吉村代表は言う。これができねば連立離脱もあり得る覚悟だ。自民も立憲も長年触れられなかった「痛みを伴う改革」に真正面から切り込む。少数政党に配慮せよとか、民主主義が守れないなどと、今更のメディアや野党の言い訳には鼻白らむ。だって15年前から言っている話だ。また一から議論するのか?それを称してやらないという。

臨時国会で議員定数の削減法案を採決することを、合意の一丁目一番地に据えたあたり、まさに維新らしいスピード感である。

同時に12項目・維新ならではの内容を含む。統治機構の改革(大阪副首都構想26年通常国会で法案を成立させる)社会保障政策(社会保障改革に関する両党の協議体を定期開催する)経済財政関連施策(ガソリン税の暫定税率廃止法案を2025年臨時国会中に成立させるなど)など、維新の公約・それを自民党に突きつけ、合意したことは、今までにない明確な連立のあり方だ。

だが、そこにこそ危うさも潜む。改革を急ぐあまり、合意形成を軽んじれば、支持層の乖離を招く。世論は一瞬、喝采するが、痛みが伴えば反転も早い。自民党内部の保守派や官僚機構との軋轢も避けられまい。それでもやり切れば、日本は変わる・・・

維新が掲げる「しがらみのない政治」は、言い換えれば、誰にも守られない政治でもある。大阪で自民党を呑み込んだように、国政でも主導権を握る可能性がある一方で、**強引さと焦りが重なれば、自滅も早い。**連立離脱、再びの政界再編――そんな展開も現実味を帯びる。

それでも私は、今回の連立を日本政治の「血の入れ替え」として評価したい。

守旧に風穴を開ける勢力がなければ、政治は淀む。維新の疾走がどこまで続くか。倒れても、改革の火を次に渡せるか。そこにこの連立の歴史的価値がかかっている。
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