魚好きの私・魚を追って暮らしを北上させるか・・・
最近・北海道でもフグが水揚げされるようになった。
フグといえば下関のトラフグが王様だが、年々その漁獲量は減っている。
代わって注目されているのが、北海道のマフグだ。トラフグが王様なら、マフグはさしずめフグの女王といったところか。
北海道でフグと聞くと、私は春先に亡くなった友人を思い出す。
彼は鷹匠。生き物を捕らえる天才で、猪でも熊でも罠を仕掛けて仕留めてしまう。そんな彼が3年ほど前、「知床でフグが大量に上がっている。漁師は捌き方を知らん。揚げても捨てている。だから安く仕入れれる。商売になる」と、興奮気味に電話を掛けてきた。「一緒に北海道へ行こう。ふぐで一儲けだ」と。
私は笑って、「オマエは相変わらずだなぁ。金儲けなら自分でやれ」と断ったが、今や北海道のフグがスーパーに並んでいるというから、たいした先見の明だ。山っ気の多い男だったが、変なところに目が効く人だった。冥福を祈る。
話が逸れたが、北海道のフグ漁獲量は23年に1430トン。
全国2位の石川県の倍だというから驚く。(下関や福岡じゃないんだ)元々フグ類は、熱帯や亜熱帯の魚だ。しかし、マフグだけは比較的低水温に強いという。
とはいえ北海道まで北上してきた背景には、やはり海水温の上昇があるのだろう。温暖化って奴だ。気候変動は、魚たちの生活圏も少しづつ動かしている。
そう考えると、この夏の猛暑・一過性ではない。人間もまた北上して行く時代なのかも知れぬ。魚好きの私としては、うまい魚を追って北へ・・・そんな気分になる。
秋になると光りモノの魚が美味い。同時にフグの季節でもある。
高価でなかなか手が出ないのだが、ギフでフグ専門店を営む親友がいる。
そろそろその店の暖簾をくぐる頃だ。テッサ・白子・ひれ酒・・・そして締めの雑炊。気の置けない仲間と囲むフグ鍋ほど、秋の夜を満喫するものはない。
亡き友を思って・・・やるか。
北の海にも、確かな季節の味がある。
温暖化の影響とはいえ、フグが北の海で泳ぐ光景を思うと
人も魚も、時代とともにゆっくり北上して行くのだなぁ。
・・・そんなことを感じる秋である。Goto
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