児童虐待防止月間

「許せない」で終わらせない

十一月を迎えます。児童虐待防止を呼び掛けるこの月、中広グループは今年も「オレンジシンボル運動」を展開します。十年以上続けてきた活動の根底にあるのは、虐待を「許せない」と憤るだけで終わらせず、何としても防ぐという覚悟です。

今年は児童相談所虐待対応ダイヤル「189」にちなみ、全国千八百九十か所のライトアップを目指してきました。各地を象徴するタワーや名だたる施設を、一斉にオレンジ色に染め上げる。「なぜ、オレンジなのだろう」。その問いを、児童虐待に目を向けるきっかけにしたいのです。

自分には関係がない。よその家庭のことだから。そうして知らず知らず目を背けていなかったか。オレンジの灯を見上げた一人ひとりに、この問題を自分のこととして考えていただきたい。美しい光景をつくることが目的ではありません。社会の意識を変え、子どもを守る行動につなげることが、この運動の本旨です。

子どもは親の所有物ではありません。一人の人間として尊ばれる存在です。人間学の根本は、相手の尊厳を認め、自分の力をその人のために使うことにあると思います。親の力は、子どもを従わせるためではなく、守り育てるためにある。しつけという言葉で、暴力を正当化してはなりません。

叩かれ、怒鳴られ、存在を否定される日々は、子どもから安心も、人を信じる心も奪ってしまいます。一方で、親を責めるだけでは解決しません。孤立や疲労、不安に追い詰められた親を、支援につなぐ必要があります。「手を上げそう」「もう限界だ」。そのときこそ、児童相談所を頼ってほしい。助けを求めることは、子どもを守る責任ある行動です。

私たちは毎月、全国の家庭へ千二百万部の地域みっちゃく生活情報誌を届けています。家庭に届く媒体だからこそ、苦しむ親に相談先を伝え、周囲の人に気づきを促すことができる。「虐待かもと思ったら189番」。その電話が児童相談所につながり、親子を支える入口になる。この橋渡しも、私たちの大切な使命です。

児童相談所や行政の担当部署で奮闘する方々にも、心から敬意を表します。対応の検証や改善は必要です。しかし、事件のたびに現場を責めるだけでは、解決には近づきません。児童相談所の役割や取り組みを丁寧に紹介し、地域との信頼を育て、ともに子どもを守る。その連携を支えることも、情報誌の役割だと考えています。

家庭で起きる虐待を、家庭だけの問題にしない。事件になる前に気づき、つながり、支える。十一月だけの呼び掛けに終わらせず、日々の仕事を通じて、この社会課題に誠実に向き合い続けます。

オレンジの灯に託すのは、願いだけではありません。子どもの命が虐待で奪われる社会を、何としても変える。中広グループの決意です。Goto

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