輸出の低迷

経済って難しいですが、生き物ですねぇ。
勝利の方程式は本当に通用しなくなったのか?アベノミクスの第一の矢、日銀が取組んだ金融緩和の主たる目的は円安です。円安は輸出を伸ばすための起爆剤です。「高度経済は80年代半ばから00年代半ばまで輸出指導」日本の繁栄は輸出が牽引しましたが・・・
その後、徐々に円高が進み12年秋には1ドル70円台に。輸出主導型の成長パターンに黄信号が。そして、東日本大震災で原発が全面ストップ。化石燃料の高騰と合間って、貿易収支は赤字に転落(25カ月連続)しました。その打開策が、アベノミクス第一の矢、日銀による金融緩和です。
12年・12月安倍政権が発足、以降100円超の円安が続き、方程式通り、輸出が伸びて貿易収支が黒字転換するのでは思われたのですが。財務省の発表では14年上期の貿易赤字は7兆5984億円で、暦年の半期ベースで過去最大となり、円安効果で輸出が伸びるとの方程式が狂っています。
毎日新聞夕刊の特集ワイド(8/19付)では、その原因を「BRICSなどの新興国の需要が弱いため」というシンプルな説から、「円高逃避で、企業の海外生産が進み(日本メーカーの海外生産率は12年度実績で20,6%)輸出が伸び悩むのは当然」・・・・
企業が海外に生産拠点を移すのは円高よりも、国内マーケットの縮小のためで、突き詰めれば少子高齢化が要因とまで。(私的にはなんでも、少子高齢化、人口減に結びつけるのも短絡的だと思うのですが)・・輸出低迷の底流に日本社会の構造的変化に直面し、政策の限界が露呈してしまったのではと・・・・原因は多義に渡ります。
「原発が稼働せず化石燃料が増えたことが貿易赤字の原因だとの説があるが、13年の鉱物燃料の輸入額は約27兆円で、08年と同額。でも貿易収支は2兆円の黒字。13年は11兆円の赤字。原発停止に結びつけるのは無理」と原発停止が理由でなはないとも。私の知るデータでは、13年度ベースでは約3,6兆円増えたのですが・・・・
更には、こんな原因も輸出低迷ではと「親会社と海外の子会社との間での取引に適用される移転価格・・親子関係で輸出が不当な所得移転に当たらぬよう予め両国の税務当局との間で妥当な移転価格を決めておく。為替が変動してもその効果を享受できない仕組み」が、円安でも輸出が伸びない原因ではないかと。
なるほど、そんなことまでが輸出低迷の理由とは知りませんでしたが。果たして「価格移転」での取引額は全体の輸出のどの程度なのかも知りたいものです。いやいや、また、長いブログになってしまいましたが。毎日新聞のこの特集、結論は円安誘導の政策は間違いであると・・
円高でも良いのではないか。安く輸入して、内需を拡大すれば経済は回ると。もう一言付け加えれば、デフレから脱却する必要ない。もはや円安による勝利の方程式は壊れたのだから。と言いたいのでしょう。しかし、そんな理由はどうでもよくって・・・貿易収支が黒字ならなければと思うのですが。
うーむ。私的には、消費税増税の後遺症を解消し、国内需要の戻りを早める施策を取り・・・・
原発再稼働で、鉱物化石燃料の輸入額を減らすことが先決では・・・そして、新成長戦略の推進スピードを上げることの方が重要ではないかと思うのですが・・・Goto

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