凜として、食欲の秋を楽しみたいものですね。
もう何年前になりますか?30代前半ですから、それこそ30年以上前でしょうか。ご存知ない方が大半かも知れませんが。昭和天皇の皇后の体操の先生で、クレージーキャッツ安田伸さんの奥さんだった竹腰美枝子さん。彼女にお願いして日本中を講演して回ったことがあります。
とても軽妙な話術。三島由美さんというピアニストがパートナーで一緒。講演内容は、由美さんの軽快なピアノのリズムに乗って竹腰さんが、観衆に体操をさせながら、健康の大切さを訴える・・・なんとも楽しく心も身体も和む講演で好評でした。
そんな竹腰さんと講演先で食事を。「あなたは、良い家庭で育ちましたねぇ」と、「えっ」と私。「私は箸の持ち方で、どんな家庭で育ったかがわかるの」・・・「両親がしっかりした家庭は子供に箸の正しい持ち方を教えるの」「箸の持ち方が悪い人は、食事が卑しいの」
「人はどれだけ赤貧でも、食べ物を頂く時には凜としていないとだめ。箸の持ち方がだらしない人は、品位に欠け、さもしい人間なのよ」「気を付けて人を見なさい」なんて、講釈を伺い、そんなものかと思いましたが。なぜか、今だにその言葉が耳に残っています。
竹腰さん、箸の持ち方を強調したのですが。毎日使う箸。長さも形もTPOがあります。長さは親指と人差し指を広げた長さの1,5倍が目安。持ち手は胴張(丸みのある四角)がオーソドックスで、持ちやすいのは、八角型や凸凹のある削り箸。魚を食べる時は先の細い箸を。麺類は先が太くて四角が食べやすい。(朝日10/27朝刊)そんなことを考えて箸選びをしているだろうか。
私は箸選びまでは親に教わっていませんが。寄せ箸(茶碗や皿を箸で引き寄せる)や、落ちたものを箸で拾う「拾い箸」、あれこれ迷う「移り箸」や「迷い箸」、食べ物を刺して食べる「刺し箸」やお茶ずけを食べる時の「かきこみ箸」はやるなと躾られたものです。
人は食べなければ生きて行けません。腹が減れば、何でも美味しく頂けます。手で食べようが。フォークでたべようが、自由ですが。生きるために食べるとしても、凜として食事を頂きたいものです。箸は日本の文化です。食欲の秋。箸に感謝しながら、秋の実りを美味しく頂きたいものです。Goto

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