NYT復活の兆し……

新聞社こそ「新聞と何か」原点回帰せよ。                      
新聞命(しんぶんいのち)の私です。
新聞の価値が認められたり、復活の兆しが話題になると、
何となくですが、未来が望めるようで嬉しい気分になります。
ネットに押され購読者の減少が激しく、復活はあり得ないのではと、
いわれている米国の新聞。ここに来てNYT(ニューヨーク・タイムズ)が
復活したとの報道に接した。
経済紙はその内容からしてデジタル化が可能ではと思っていたが、
一般紙はネットニュースで事足りて、デジタル化は難しいのではないか。
そんな認識でいたのですが、どうも間違いのようでした。
デジタル時代に向け、経営資源の集中と選択を重ねてきたNYT……
電子版の有料購読者が月4万人のペースで増えているそうです。
19年の6月末、月15ドル払う電子版有料読者数300万人を超え……
2025年までには1000万人にするという「野心的な目標」が見えてきたと。
なぜ……。有料読者が増え始めたのは、16年秋、トランプ大統領当選直後から。
ツィート政治が日常化、それに呼応する報道へのニーズが高まりNYTの電子版に人気が。
NYT……ネット版にはエース記者しか採用しない実力主義と
付加価値を出せない情報はあえて切り捨てる大胆な編集方針をとった。
新聞ならではの「当たり前」の記事は掲載しない。
個性的で野心的な鋭利な感性で記事を掲載する。トランプ大統領のツイートと
堂々と渡り合う。そもそも論でいえば、新聞は権力に対して独特の切り口で
論陣を張るものです。その限定に立ち返った。
そうしたら、読者が有料でもついてきたってことです。
この原点回帰とでも申して良い質的変化に加え……17年から、
無料で読める記事を半減させ、「ザ・新聞」であるNYTを電子版で読みたければ、
月15ドル。安いものだ、有料で読んでみろと、誘い込んだ。
私はその新聞人たちの矜持が読者を呼び寄せたのではないかと思う。
私も大変な勘違いをしていた。
紙のメディアで成功した日刊紙のビジネスモデルは
紙の中にしかないと思っていた。だから、デジタル化は難しいと。
でも、紙に拘っていただけのこと。今ではネット課金は日常。
読者にとって、必要な情報ならば、紙だろうが、電子版だろうが関係ない。有料で読む。
米国には全土1000紙を束ね最大の発行部数持つ「ガネット」がある。
従来のビジネスモデルから一歩も抜け出せず……そうです。
読者ニーズに耐えうる内容の記事が掲載されない故に、経営は振るわない。
私は新聞は紙であることに価値があると思い込んでいたこと自体が
間違いであることをNYTの電子版有料読者の急増で改めて認識した。
新聞とは「なにか」改めて問い直せば、新聞によるこの国の未来が見えてくる気がした。
Goto

コメント