学問の自由

政府とは別の独立した学術会議であって欲しいものです。
政府が日本学術会議の新会員6人を任命しなかったことが、
「学問の自由を侵害する」と大きな問題になっています。
果たしてそうなのか、検証してみたいと思います。
そもそもですが、日本学術会議とは何をするところで、どんな機関なのでしょうか。
発足は終戦から4年目の1949年、71年前です。
「戦争を目的とする科学研究には絶対従わない」のが設立の主旨で目的です。
そうなのです。科学政策への提言や国内外の科学者の連携で「軍事目的のための
科学研究を行わない」ことを誓う会議です。
会員は210人で任期は6年、3年ごとに半数を交代させます。当初は国内のほぼすべての
研究者による選挙で選ばれ「学者の国会」とも呼ばれていました。
でも、昨今は選挙にでる科学者が減ってその存在意義は低下。
84年に会員選出方法を変更、学会の方針を基にして、学術会議が候補者を推薦し、
内閣総理大臣が推薦に基づいて任命するようになりました。
推薦の現実は仲間内で会員を引き継ぐなどの悪弊や、会員の高齢化が指摘され、
2005年には現会員が次の委員を推薦する方式に変わり、70歳定年制も導入されました。
ということは、一見民主的に見えますが、ある一定の人たちが自分たちの都合で、
学術学会会員であるという名誉職をたらい回ししているのが現状です。
国家予算は10億円。会員は非常勤の特別職の国家公務員で、旅費や手当てが支給されます。
手当は会議出席時に1万9600円です。名誉職として美味しい仕事です。
そうなのです。今や学術会議はたらい回しで形骸化していて、
本来の役目を担っているとは言い難い組織です。この10年政府への提言はゼロです。
取り分け、1部の「人文・社会科学」には、自らの思想信条で公然と政府を批判する
人が選ばれています。どこかで、会議に入り込み・・資本主義を否定しているのです。
第1部(社会科学など)会員には安倍政権時代、安保関連法案や特定機密保護法、
「共謀罪」などに批判的な立場に立つ学者が紛れ込んでいます。
その人たちを排除することが、学問の自由を阻害するというなら、
それは本末転倒です。「学問とは政府の保護の元に行うものではありません」。
日本の学術会議は政府の組織です。時の政府に反対するならば、それは、政府から援助を
受けない別の組織に入って行うべきです。他国の学術団体は国から明確に独立しています。
全米科学アカデミーや英王立協会は民間団体とされ、運営財源とも
国には依存していません。そうあってこそ、学術会議です。
メディアは政府にお決まりの説明責任を果たせと迫ります。
もちろん、政府は「意にそぐわない考え方」の持ち主だからとは言えませんので、
法的に任命権を行使しただけとしか言えません。それを是とするのか非とするのかは
国民の判断ですが、それが問題だというならば、全国に学術会議の会員資格をもつ
学者が何人いるのかを明確にして、その選出方法を含め、
オープンに選出すべきではないでしょうか。
であれば、政府の任命権も拘束されます。
形骸化したなら不用、学者の自由を保障して欲しいというなら、
いっそ学術会議を廃止してはどうでしょうか。
私は菅政権の任命除外は是としませんが、学術会議について
よく考えるきっかけではあります。Goto

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