この夏には・・・山口・周防大島を訪ねてみたいと思います。
この10年方、未だ叶わぬのですが、どうしても尋ねてみたい所があります。
瀬戸内海に浮かぶ山口県・周防大島町です。観光でもゴルフ場でもありませんよ。
そこには旅する民俗学者宮本常一記念館があります。そこへ行ってみたいのです。
宮本常一のことは佐野眞一さんのドキュメンタリー「旅する巨人」に詳しい。
宮本は「人の見のこしたものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。
あせることはない。自分の選んだ道をしっかりと歩いていくのだ」との父の教えを胸に
周防・大島から大阪に出て教員になりました。
そして渋沢栄一の孫、渋沢敬三の主宰する若い学者たちの
研究機関「アチック・ミューゼアム」に入所・・・・昭和・戦前・戦後・・
日本全国の農山漁村を旅して、人々の暮らしがどのようにして成り立ってきたのか、
市井の人たち、それも老人たちの生の声と写真を集め民俗の研究に研鑽を積みました。
その代表作が「忘れられた日本人」です。著した目的を「いま老人になっている人々が、
その若い時代にどのような環境の中をどのように生きて来たかを描いてみた。
それは単なる回顧ではなく現代につながる問題として、老人たちの果たして来た役割を
考えてみたくなったから」だとあとがきで語っています。
読み進めるに・・・ムラ社会(集落)における物事の決議の仕方などは、
車座での独特の寄り合い方式で意見が出尽くすまで議論を重ねて決める・・・・
現代民主主義も及ばぬ手法が取られていたことなど教科書にはない民俗の姿が綴られています。
記念館には宮本が聞き取った原稿などの文章が約6000点、日本各地で撮影した写真は
約2万点を数えます。記念館は常設で、常一の研究をする専門員も駐在しています。
私たちは日本史を学びますが、幕末・明治の時代に人口の9割が担って来た農山漁村で
日本人がどんな暮らしをして、どんな社会を形成していたのか・・・
自分の祖父や曽祖父の時代ですが意外と知りません。
それが、周防・大島の宮本常一記念館に行けば見つけることができるのです。
私は「地域を愛する」仲間の手によって、その地域で生活情報誌を発行しています。
巻頭特集にはその地域の土の香りがする誌面を編集して掲載しています。
でも、まだまだ不十分です。市井の日本人と向き合った宮本常一を訪ねれば、
「忘れられた日本人」に出会えるかも知れないと思っています。
この夏には、何処かで時間を割いて、山口県・周防大島に行って見たいと思います。Goto
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