世間の風潮に左右される文科省の軽薄・・・・
国立情報学研究所新井紀子教授にはいつも勉強させてもらいます。
デジタル教科書の導入についても、世の中の流れに沿ってなのか・・
それとも忖度なのか、はたまた、そもそも哲学も理念もないのが文科省の有識者なのか。。
新井教授の話を伺うと、この国って本当に大丈夫なのか、心配になります。
デジタル教科書に関する文科省の有識者会議は「タブレット端末で利用できるデジタル化した
教科書(デジタル教科書)の本格導入を2024年度にする」との中間提案を公表しました。
提言には、その方法として「紙の教科書を全てデジタル教科書に置き換える」が
含まれています。そうです。全てです。紙の教科書をなくしてしまう・・・ってことです。
教授は「紙からデジタルへ」とは、所有から期限付き利用へ大転換することを意味する。
自治体が行うデジタル端末や教材の契約は年度ごとです。教科書選定も数年ごとに
行われます。次年度の端末提供業者は前年度と同じとは限らない。となりますと、
前年度の教科書どころか「学びすべて」がアクセス不能になります。
デジタル化で学びの継続性が阻害されることになります。
また、業者は排他的に子どもたちの学習ログ(学習履歴)を取得することになります。
「学習ログを自治体・企業に取得されない」権利を保障するための
規制は簡単ではありませんなど、教科書を安易に「紙からデジタルへ」と
それも「すべて」置き換えるなど非見識も甚だしいと仰る・・・なるほどです。
なぜ、こんな重大なことを安易に決めるのか・・・
コロナ禍で、小中高が3ヶ月前後の休校を余儀なくされました。
授業をどう継続するのか。何の準備もなくオンラインだ。タブレットを配布せよ・・
どこの自治体も血眼に。文科省も省益ここぞとばかり予算確保に・・・・
そしてマスコミです。
インターネットがあれば、端末を使いオンライン授業は可能だ。
宿題もネット配信できる。デジタルドリルは、人工知能(AI)が最適な問題を選んでくれる。
児童生徒の学習はクラウド上のサーバーに学習ログとして蓄積され、進捗がいつでも
確認できる。それに早期からデジタル機器に馴染めば、デジタル社会で活躍する
人材育成にもつながる・・・などなど、良い事づくめだと、メディアは煽り、
為政者が囃し立てました。風向きがそうなったのです。
それが文科省の有識者会議の拙速な「すべての教科書デジタル化」の要因です。
新井教授に指摘されなければ・・・我々も「デジタル万能時代」に侵され、
「デジタル教科書」に賞賛する側に立つところでした。
教授の声が、心ある為政者に届きますように。Goto
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