経済戦争

ロシアは外貨準備資産のドルを減らし人民元と金に換えていましたが・・・
経済戦争という言葉がありますが・・・西側のロシアへの金融制裁もやはり戦争です。
主要7ヶ国はロシアのウクライナ侵略を受け海外に保有する外貨準備資産を凍結した。
その結果、ロシアが積み立てた6000億ドルの外貨準備の約半分が使えなくなりました。
ロシア中央銀行の総裁は「経済制裁で海外資産を凍結されても、ロシアは人民元と
金で十分な外貨準備を確保している」と述べ。「外貨準備の凍結『通貨防衛』が
できなくなり、ロシアにとっては打撃だ」と西側のエコノミストは言う。正に経済戦争です。
ウクライナに侵略すれば間違いなく、西側が外貨資産を凍結してくる・・・
そんなことは読み筋だとロシアは周到な準備をしていたことが3ヶ月に1度に公表する
ロシア中央銀行が外貨準備の外貨別の保有割合でわかってきました。
22年1月1日時点の数値と17年〜21年6月末と比較すると・・・
外貨準備の規模と構成通貨の割合が大きく変化していることが読み取れます。
背景はクリミア戦争でロシアは米国やEUなどから制裁を受け、国内経済の停滞を招いた・・
その反省の上に立っての大きな変化です。
経済が不安定化した場合、「保険」となる外貨準備の規模を着々と拡大していました。
ロシアは世界有数の資源大国・輸出の半分以上を原油や天然ガス、石炭、貴金属が占めています。
資源輸出で稼いだマネーを外貨準備として積み上げ、有事に備えてきたようです。
17年が4178億ドル・22年には6129億ドルと1.5倍になっています。
そして、なるほどと思うのが、通常外貨準備は世界通貨であるドルを主体にしますが、
ロシアは意図的にドルの保有割合を17年の46.3%から21年16.4%、そして22年には10.9%まで
下げています。欧米が経済戦争を仕掛け、外貨を凍結してもドル建てが10.9%では効果薄です。
ではロシアはどんな通貨で保有しているのか・・
中国の人民元です。17年には0.1%だったのが22年には17.1%とドルと逆転しています。
人民元の急増は米国が経済戦争を仕掛けることを予想、金融制裁に備えていたのです。
さすがプーチンと申しますか、なるほど中国が経済戦争をロシアに仕掛けることはないですね。
でです。更に備えたのが、通貨ではなく「金」を買占め、外貨準備に相当しています。
これも価値が下がりません。考えてみれば当然の経済戦争防衛です。
ですから、ロシア中央銀行の総裁は「人民元と金で十分な外貨準備をしている」と胸を張る。
西側の思惑として、経済制裁を強めれば、ロシアの経済は悪化して、
国民の離反を招くとの戦略が意外に通用していない要因はそんなところにあるようです。
でもです。そんなことさえ知らずに主要7カ国が金融制裁を強めているとも思えません。
経済戦争はボディーブローの殴り合いのようなところがあります。
経済は生き物です。例えば人民元と金に逃げてもボディーを叩き続けられれば、
体力が消耗して参ります。ロシアがいくら経済制裁に周到な準備をしてのウクライナ戦争でも
世界を相手にしては、長期戦になれば、多勢に無勢です。Goto

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