さすが宝島社

失われた30年じゃない。天才たちが生まれた30年だ・・・

寂しい話ですが。元旦から二日を除いて発行される新聞各紙の広告を比べるのですが、いかにも量が少ない。質が悪い。いやそう言うと失礼ですね。言い換えましょう。オールドアドマンとしては・・・売らんかな・・の広告ばかりでは情けないと思う。

正月広告の定番といえば、出版社の広告ですよ。その紙面が楽しくって、何度も新聞をめくっていたころが懐かしい。だって、あの講談社だって集英社だって、自社の本を売らんとする広告なのですから。少なくとも日本の頭脳を磨くと申しますか・・・支える出版社ですよ。

出版社としてポリシーや考え方を読者に訴えるならわかりますが、自社の出版物の宣伝・・通常の書籍広告を少しだけアレンジして、さも、自社の企業姿勢をする・・・そんなセコイ広告ばかりを掲載しているのです。
でも私に言わせれば、新年の紙面に掲載するだけでも良しなのかも知れません。

だって、年々正月広告を掲載する力も無くなっているのですから・・私の感覚とすれば、出版の経営者の質が落ちているのでしょうねぇ。考えてみて下さいよ。「貧すれば鈍する」と申します。

その象徴が広告費の削減ではないですか。本が売れない。広告費を削る。また売れなくなる。また削る。その繰り返しを何年続けているのですか。その最後の砦が・・・新聞の年賀広告です。それも取り止めてしまう。或いは自らの主張もせず、発行した本の紹介しかしない。残念です。

でもです。そんな萎縮し縮小し続ける出版界ですが。ご覧になりましたか。1月5日・30段ぶち抜きの見開き広告を打った・・・宝島社の紙面を。今年は内容を変えて朝日と読売に堂々と出版社らしい、唸る広告で主張しました。見事です。

朝日には・・・見出し・・
「失われた30年じゃない。天才たちが生まれた30年だ」

コピーは、
野球を、フィギュアを、将棋を見よ。
ちゃんと世の中を見渡してみよう

この30年はたくさんの才能が生まれ羽ばたいた30年じゃないか。
この国は何も失っていない。
あえて言えば、一部の既得権益が消えただけだ。

日本中の新たな才能たちへ。
過去を嘆く上の世代は気にしなくていい
途方もない目標を口にして、好きなだけ自信を持ち、
いつも自分を楽しんで、行けるところまで駆け抜けてくれ・・・

どうですか。スカっとしませんか。大谷翔平よ。羽生結弦よ。宇野昌磨よ、藤井聡太よ。そして・・・山本由伸よ。君たちの力こそが日本だ・・と訴える。
そして既得権益を失って嘆く輩を痛烈に批判する。素晴らしい広告です。
これぞ出版社が新年にあたって、日本人に訴える覚悟じゃないですか。

それもいちばん嘆き節の多い朝日新聞の紙面を使うって・・宝島社の心意気ではないでしょうか。他の出版社に「見習ったらどうか」・・とは申しませんが。
宝島社との距離は益々開くのは間違いないと言えます。

それと、これも憎いじゃないですか。読売新聞掲載された紙面・・朝日とは全く違う。日本画の大家・横山大観の「富士山と初日の出」・・・そこに・・・
「それでも、ニッポンはいい国だ。」「この国はこれからだ」宝島社・・
これも最高の広告紙面ですね。

最近の政府って実に馬鹿げていませんか。
・・いつの間に、誰が決めて・・そうなったのか。ミサイルを米国に輸出することができる国になっちゃったのですよ。これじゃまるで、日本という国はどこにも存在しないってことじゃないですか。米国に言われるがまま・・・

いつから米国の51番目の州になったのですか・・・そんな憤りを宝島社が、そのことすら無視する読売新聞に抗議の意味も込めて、この紙面を掲載したのです。もちろん、読売新聞が読者とする右傾化した国民でも米国の属国になることまでは・・認めないのではないか。それがコピーの「この国はこれからだ」に表れていると思うのは贔屓の引き倒しか。

新年の新聞をめくりながら、イラついていましたが
宝島社の気骨ある大胆な正月紙面に・・・少しばかり溜飲が下がりました。Goto

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