下請けいじめ

契約したのに支払い時に減額するなんて・・商道徳の風上にも置けない。

日産ってこんな会社だったでしょうかねぇ。
本当だとしたら、実に残念。日本の製造業、特に大企業は倫理観がしっかりしています。厳しい経営はするでしょうが、まさか、契約後に支払いを減額するなんてあり得ないと思うのですが・・読売新聞のスクープ。間違いなさそうです。

日本の基幹産業は自動車です。自動車は非常に裾野の広い産業です。下請けが多義に渡ります。下請けをどう捉えるのか。部品の納入業社です。部品が一つでも欠ければ車は生産できません。同じ仲間とは思わないにしても、協力会社、あるいは友好的な関係にあるはずです。

もちろん、ひと昔前ならば、下請けいじめなんて日常茶飯だったでしょうが。
今はそんな時代じゃありません。天下のトヨタでも、契約するまでは下請けであろうが、関連の会社であろうが、継続して高品質な部品が納入できるかどうかに妥協は一切ありませんが。不良品が続出するとか、下請け業社に不正など特別な問題がない限りは契約は順守されます。それが商道徳です。

ところがです。日産は部品を製造する30社以上の下請業社に納入代金を支払う際、事前に取り決めた金額から支払い分を数%減らしていた。減額率は日産側が一方的に決め、10億円超を減額された業者もあたったそうで。総額は30億円に上る。めちゃくちゃな話です。

そのやり方は前年度の納入額割合の目標値を設定し、目標の達成状況もチェックしていたとされる。目的はコストダウンによる収益の向上。この不当な減額は今に始まったのではなく・・・数十年にわたって続いていた可能性もあるそうです。数十年って、あの逃亡者・カルロス・ゴーンが危機的な日産を立て直したと持て囃されていた頃になる。

業者にしてみれば取引の打ち切りを恐れて泣き寝入り、減額を拒否できなかったという。まるで池井戸潤さんの小説を絵に描いたような話です。この手の話はなかなか表には出難いのですが・・・公正取引委員会は粘り強い調査を重ね「下請法違反」まで漕ぎ着けたのは立派です。これぞ正義です。それをスクープした読売の取材班に拍手です。

政府はデフレ脱却に躍起になっている時です。経済の好循環を生み出すため、サプライチェーン全体でコスト上昇分の価格転換を進める方向性を打ち出している。公取委も大企業と下請業社との取引が適正に行われるか監視を強めている最中、日産のこの営利主義の「下請いじめ」は許されない。

日産側は、読売の取材に「事実関係の詳細は確認中」だとしているが。直接的には関係はないのだが・・・自民党派閥の裏金事件で国民は随分苛立っている・・こんなご時世です。大企業の「下請けいじめ」なんて日本人が最も嫌う出来事です。果たして消費者が黙っているか?下手に隠蔽したり、対応を間違えたりすると、不買運動も起きかねない。注視したい問題です。Goto

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