内閣府の発表を鵜呑みにして書くのが記事ではない。
これが新聞ってことなのでしょうかねぇ?
5/17日付、新聞各紙こぞって、そうです、こぞってです。
一面を使って、GDP/2期ぶりマイナスを大々的に報じている。
メディアに関する調査(メディア価値観全国調査)では「新聞の1面に掲載されるニュース」を重要なニュースと思うかとの設問に「重要である。かなり重要である」と回答したのは全体の76%。新聞の信頼性と合わせて、1面の情報価値が広く評価されている。
その1面に「GDP年率2.0%減(1〜3月実質)景気回復に足取り鈍く(日経)
GDP2期ぶりマイナス年2.0%減、消費振るわず(毎日)
1〜3月期、年率2.0%減、株高なのにGDPマイナス(朝日・時々刻々)などと
このニュースが大々的に報じられた。
理由は、2四半期ぶりにマイナスになったこと。自動車の生産停止の影響で設備投資や輸出が減少したこと。個人消費が4四半期連続でマイナスだったこと。
4期連続の減少はリーマンショックに見舞われた09年1〜3月期以来であること。だから重要なニュースであると掲載された。
さらに、個人消費の減少は円安や原油高を背景とした物価上昇に賃金の伸びが追いついていない。そうです。収入の動きを示す雇用者報酬が実質で前期比0.4%減であったことも要因だと。
でもです。考えて見て下さい。1〜3月期ですよ。春闘の真っ最中。思い起こして下さい。ほんの数ヶ月前、そうです。大企業を中心に大幅な賃上げが話題になり、この流れは、今後中小企業に波及せねばならない、そんな議論の時の数字です。専門家は「景気は足踏み状態にあることを改めて認識する結果だと、この報道を注視するが・・・
同時に4〜6月期は自動車生産が再開されるため、プラス成長に転じる。だってこの生産中止だって、当局の過剰な対応による人為的なものだったのですから。
当然に春闘の高い賃上げ率が反映され名目賃金が上昇する前の期の統計です。
景気のプラス基調は維持される見込みです。
ということは、この1〜3月期のこのマイナスは、一過性、一時的なことではないのか。だって中小企業でも比較的大幅な賃上げが実施されているのです。内閣府のピンボケですが、加えて定額減税が6・7月に集中して実施されます。個人消費が拡大することは容易に考えられる。
にも関わらず。1〜3月期のGDPマイナスをいたずらに煽る。それも1面を使って、読者にしてみれば、過去のことと思うよりは、今景気が悪化し、今後も見通しが暗いと錯覚するではないか。だって新聞の一面の評価は高いのだから。
回りくどくなりましたが。私が申し上げたいことは、
新聞の一面に掲載するほどの内容でもないのに・・・日経が大々的に報じると察知したのでしょう。同調するように追従して一面に掲載した。それが朝日と毎日です。さすがに讀賣は一面でなく経済面で取り上げた。
ニュースの価値判断ってなかなか難しいのだが、少なくとも、他紙に抜かれないようにとか、他紙の動向によって一面を決めるような主体性のないことは止めて欲しいものです。もちろん、見出しも記事もです。少なくともこのGDPマイナスの記事は内閣府の発表をそのまま書いたに過ぎない。現在走っている4〜6月期に対する視点は全くない。
そうなのです。記者発表以上の記事ではないのです。
そんな記事を1面に掲載するようでは、読者離れの加速は止まらないでしょう。Goto
コメント