「ライフパフォーマンス」という言葉をご存じでしょうか。
2023年、スポーツ庁が打ち出した考え方で、「それぞれのライフステージにおいて、最高の能力が発揮できる状態」を指します。
東京五輪・パラリンピックで培われたスポーツ医・科学の知見を、選手だけでなく、広く国民の健康と生活の質の向上に生かそうという、室伏広治前長官肝煎りの取り組みです。
不肖、私は還暦を人生の節目と考え、早朝ウォーキングを始めました。一時間ほど速足で歩く。古希を迎えてからは途中に二十分ほどのストレッチを加え、喜寿とともにラジオ体操も始めました。
それでも病は避けられませんでした。リウマチ治療の血液検査から前立腺がんが見つかり、ステージ4と診断。コロナ禍に全摘手術を受け、十日間入院しました。
運動をしていれば病気にならない、というわけではありません。しかし、病を得た後に再び立ち上がる力、手術後も生活のリズムを取り戻す力は、日々の積み重ねが支えてくれたと思っています。
私は毎朝4時に起きます。メールを始末し、古典を読み、ブログを書き、新聞に目を通す。最近は二十分だけ英語にも触れています。思うようには参りません。そして6時半のラジオ体操、ウォーキング、ストレッチ、朝風呂を済ませて出勤する。朝から忙しい。しかし、この忙しさが実に楽しい。
なぜ、ライフパフォーマンスという考え方が広がらないのか。
何かあれば医者が、家族が、行政が、国が助けてくれる。そんな他力本願が、心のどこかにあるからではないでしょうか。もちろん、病気や障害、経済的事情によって運動が難しい人もいます。それを自己責任の一語で切り捨ててはなりません。しかし、できるのにやらないことまで社会の責任にしてよいはずもありません。
ラジオ体操は、真剣にやれば汗をかきます。身体を動かせば気分が整い、今日なすべきことも明確になる。それでも、やらない人はやりません。
ならば、健康づくりを善意だけに任せず、参加者には保険料や施設利用料、買い物などで使える特典を与える。自治体や企業も、本気で「動く人が報われる仕組み」をつくるべきです。
強制や罰則には慎重であるべきですが、健康への努力を社会が後押しする制度は必要でしょう。
長寿とは、ただ長く生きることではありません。自分の足で立ち、自分の頭で考え、人の役に立ちながら生き切ることです。
還暦は老いの入口ではない。自分の身体と人生を、自分で引き受け直す出発点です。歳を重ねるほどに身体を整え、心を磨き、昨日より少し良い自分になる。
それが人間学としての「ライフパフォーマンス」ではないでしょうか。何よりも、己を磨く毎日は、実に楽しいのです。Goto


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