ありがとうを、足もとに

あなたの県は、どんなラインですか。

ファミリーマートが創立45周年を記念して、なかなか心憎い企画を打ち出した。47都道府県それぞれを代表する花をモチーフにした「ラインソックス」である。(写真参照)

いつもの白い靴下に、緑と青のファミリーマートライン――ではない。各地の暮らしと風土に目を向け、その土地を思わせる花の色をラインにした。まさに、日本列島に感謝の花束を贈る企画である。

岐阜県はレンゲソウ。田んぼの裏作として植えられ、春になれば一面に紫の小さな花を咲かせる、あの蓮華草である。「やはり野に咲け蓮華草」野に咲く花でありながら、見る人の心を和ませる。レンゲの蜜は、昔から親しまれてきた蜂蜜でもある。岐阜の田園風景と、どこか穏やかな県民性まで思い起こさせる色合いではないか。

靴下を軽く見てはいけない。足を痛めた経験のある私にはよく分かる。足に合わぬ靴、足になじまぬ靴下では、歩くことさえ億劫になる。毎日、身体を支え、行動を支える足もとを大切にする――靴下とは、実に生活に密着した品である。

ファミリーマートは45周年の感謝を、派手な記念品ではなく、誰もが手に取り、毎日身につける一足に託した。そして全国一律ではなく、47の地域、それぞれの思いに寄り添った。ここに企業の姿勢が表れていると思う。

企業は、周年を単なる年表の一区切りにしてはならない。今日まで支えてくださったお客様、地域、取引先、働く仲間への感謝を、どのような形にして返すか。その知恵と真心が問われる。人間も企業も、独りで今日を迎えたのではない。飲水不忘掘井人――水を飲む時、井戸を掘った人を忘れない。その心を形にするのが、周年事業の本義であろう。

広告会社の仕事も同じである。周年を迎えるお客様に対し、式典や記念誌を提案するだけでは足りない。その企業らしさを掘り起こし、お客様や地域の皆さんに「なるほど、これはいい」と喜んでいただける企画を生み出す。感謝を伝え、次の歴史への決意を共有する。その役割を担わねばならない。

ファミリーマート45周年、心からお祝い申し上げたい。そして、一本のラインソックスに地域への敬意と感謝を込めた企画担当者の皆さんに、広告人の端くれとして敬意を表したい。
ファミマで紫ラインのソックスを買いに行こうかな。

ありがとうを花束に。
ありがとうを、足もとに。
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