提言

焦眉の急。
人の批判をするのは簡単だ。右手で正義を振りかざし、左手で好き嫌いの感情を表せば良い。返す刀で、生い立ち、経歴を攻めればよい。
人の意見に文句を付けるのも難しくない。物事に答えがひとつと言うことはない。正面から見た形と、左右、上下では、違う。理屈をこねれば、いかようにも意見は言える。
しかし、それでは、相手の理解を得ることはできない。意見の対立をを解消することはできない。不幸な結果を招くだけ。誰もが分かる話だ。
なぜ、人は人の批判をし、人の意見に耳を傾けないのか?なぜ、何処までも身勝手で、自己中心的なのか?分からない?そんなことに、悩める人は、他人よりも自分を戒め、自分の意見よりも人の話に耳を傾けたいと、信仰の心を磨き、真理を追究するのではないか。と、思う。
最近、人間関係で始末の悪いと感ずることが二つある。ひとつは、自分の意見を持たないで、人の意見を批判する。それを無責任と言う。その象徴が、マスもパーソナルも含めメディアだ。いわれなき非難、ためにする批判には、せめて、自分の意見と対比させて、批判して欲しいものだ。
もうひとつは、社会全体が、人の話を黙って聴かない。相手の話をすぐに否定する。自分の価値観でしか話を聴かない。そんな風潮だ。この人を通じて人生を学ぼうとすれば、人の話は聴けるものだ。聴くこと、それ自体が愛情だと思うのだが、どうも、そんな考え方は少ない。
7日の日経新聞朝刊。「年金改革」への提言を発表した。基礎年金の財源を税方式に全面移行、消費税を5%上げて賄う。高所得者への給付を抑制、支給開始年齢の引き上げを検討しながら、給付水準は現状維持を明記。大胆な提言だ。
更に、日本経済の成長力を保ってこそ年金改革は可能と。経済が不振に陥ればどんな立派な制度でもやりくりは苦しくなる。最近の傾向は抜本改革を避け、「そのばしのぎ」の予算バラマキを復活させようとしている。と行政リストラ、規制緩和の立ち往生を批判している。
この日経の提言の根底に流れる成長戦略に、格差の拡大を生む。とか、日経だからだとか、批判が起こるだろう。しかし、批判する人は、いわれなき批判、ためにする非難をやめて、まず、謙虚に耳を傾ける。そして、対案を提言してもらいたいものだ。
年金改革は焦眉の急だ。日経の提言にエールを送り、更なる、議論の精度を深める努力を願う。
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