不況は己を磨く砥石である。
テレビの総広告費。昨年2兆円を割り込み1兆9千億円となり、4年連続で減少している。
産業分野別でも、金融、住宅設備、家電、自動車などがダウン。
辛うじて、通信や食品、それに、娯楽・興行の分野が頑張っている状態だったが。
ここに来て、環境意識の高まりやエコカー、エコ家電などの減税政策に呼応して、ハイブリッドカーやエコハウスの分野で、明るい兆しが出てきた。
しかし、今年は、全体的に昨年を上回る落ち込み、果たして、回復するのか気になるところだ。
広告屋としては、ここが勝負と宣伝費を増やす積極経営のスポンサーと、がっちりスクラムを組んで、内需拡大に貢献、レスポンスの高い仕事をせねばならない。と思うのだが。
日曜の昼下がり、積み木遊びに夢中の孫(一歳二ヶ月)が、突然、テレビに目を向ける。子供は正直。
なぜか。音である。テレビから流れる、CMのBGMに反応するのだ。
私の認識では、不況になればなるほど、手ごろな娯楽としてのテレビが活躍する率は上がるハズ。
本来ならばCMの効用が再認識されてしかるべきだ。
そこはそこ。先を見通す企業は、ここをチャンスとばかりに、高感度に注視したCM作りで一気に攻勢をかけている。その秘訣は長尺でストーリー性のあるCMのようだ。
長尺とは、テレビCMの主力は15秒。それを30秒、60秒で放送する時間の長さを言う。時間が長い分だけ、物語や世界観まで表現でき、商品のみならず企業理念までも、じっくりと訴えることができる。
長尺CMは、コストが掛るため、勇気が必要だったが、需要減が幸い。放送料金がダウン。長尺でストーリー性のあるCMが結構増えた。その代表例が、グリコの「25年後のさざえさん一家」だとか、ソフトバンクの「白戸家」だ。
ある程度の予算があれば、どのスポンサーも、長尺のCMを作りたいのだろうが。
いくらコストが下がったとはいえ、テレビCM料金は高い。予算を捻出するのは大変だ。
となると、予算をかけず、高感度を得て、更に、レスポンスが取れるCMづくりに知恵を絞らねばならない。勿論。長尺ではなくて、「短尺」15秒で勝負してである。
だとすると、暗い時代。ユーモアで話題性を取る努力をするか?
それとも、孫娘が思わず注目するほどのBGMを工夫する必要がある。
条件が悪ければ悪いほど、知恵を絞り、ストーリー性もあり、ユーモアもあり、BGMにも工夫を凝すCMを作らねばならない。それも、困難覚悟の「短尺」15秒で勝負するCMを。
不況は、己を磨く砥石である。と腹を据えて。
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