ややこしい、新聞紙面です。これも時代の趨勢でしょうか?
兎も角、下の写真を拡大してご覧ください。海辺で、抜き身の刀を握って、立ちつくす荒々しい若者の絵です。絵と呼んで良いと思うのですが・・・・なかなかの迫力です。
26日付け朝日新聞朝刊の見開き(2頁)紙面です。「オー。こりゃなんだ??」。広告だろうな・・・。と思いつつ・・・・・。そういえば、以前にも出版社の「漫画週刊誌」の大胆な広告が掲載された・・あれと同じ広告かなと。
広告には掲載基準があります。考査、校閲する部署が存在して、読者に誤解を与える広告には目を光らせることになっています。バブルの頃、新聞広告全盛期の頃ですが、理不尽で、官僚的な検閲に苦しめられたものです。
それが、最近では、随分緩和されたようで、何でもアリの状態。批判を恐れずに申せば、記事風の広告には・・・安全性に首を傾げざるをえない商品も堂々と紹介されています。それはそれで・・・広告収入ががた減りの状態、新聞社も背に腹は代えられないのでしょうが・・
しかし、広告紙面に、スポンサー名も、商品名も載らない。そんな広告は、ひと昔前ならば、絶対に掲載が許されませんでした。もう一度、写真をご覧ください。蝶が止まっている「二次元バーコード」。これを携帯で、取り込めば、スポンサーの意図が分かる寸法です。
いまどき、携帯電話を持っていない人はいない。朝日の読者は、二次元バーコードから、アクセスするノウハウは全員持っていると、考えているから、何だか分からない広告でも検閲が通ったんでしょうが・・・・。
新聞も大胆な紙面が掲載されるようになったモノです。
この紙面は、見ただけでは、広告であることすらも分からない・・・。
私も広告に関わる一人、面倒でしたが、アクセスしてみました。やはり、漫画の宣伝でした。
佇む若者は・・・若き日の宮本武蔵。背景は巌流島の決闘がイメージされた絵だそうです。
内容はその作者、井上雄彦さんの原画作品展のイベント案内でした。
広告の世界はクロスメディアの時代。新聞とモバイル、PCを組み合わせた流行の広告展開です。広告会社が新しい試みるのは理解できますが・・・・。
朝日新聞の読者が、だれも二次元バーコードから、携帯電話で広告内容が読み取れるわけではありません。新聞広告掲載基準の最低限のルールとして、スポンサー名と、広告内容ぐらいは、紙面上で掲載すべきではないでしょうか?
新聞広告の価値は、スポンサーの目的が丁寧に説明できることにあると思っています。携帯でアクセスして、そこに「この新聞広告は・・・」と弁解を載せなきゃならない広告紙面は・・・頂けないなー。と思う私は古いんですかねぇ!!
Goto
追伸
新聞広告の説明は以下の通りです。
■新聞広告について
4月26日朝日新聞広告について
センター見開きに、書き下ろし広告を掲載いたしました。
描かれているのは、少年時代の宮本武蔵。
背景の海は、武蔵最後の決戦の舞台となった巌流島からイメージされたものです。
マンガ店へ通じるひとつの作品として楽しんでいただきたいという思いから、タイトルやコピーを記載しないで制作いたしました。広告ではない、一枚の絵としてご鑑賞いただければと思います。
■「井上雄彦 最後のマンガ展」とは
マンガ家・井上雄彦が墨と筆で描き下ろした”空間マンガ” とも言える一編のストーリー。宮本武蔵を主人公とし た現在も執筆中の「バガボンド」をモチーフに、意外性と迫力に満ちた物語が140点におよぶ大小の肉筆画で展開されます。
当展は、2008年初夏に東京・上野の森美術館で初めて公開されました。当初一回限りの公開を予定していましたが、一つの空間でしか共有できない物語に全国からマンガファンのみならず多数の観客が殺到し、入場制限を行うなどの事態に作家が巡回展開催を決意いたしました。
以降、毎回新たな絵と演出を加えながら、「重版<熊本版>」、「重版<大阪版>」を経て、今回の「最終重版」が最後の公開となります。
※当展は、少しでもよい環境でご覧いただくため入場者数を限らせていただいております。確実にご覧になりたい方は、予約チケットのご購入をお勧めいたします。
■井上雄彦 略歴
井上雄彦(いのうえたけひこ)
1967年、鹿児島県生まれ。マンガ家。文化庁芸術選奨メディア芸術部門新人賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞ほか、 受賞多数。代表作は、週刊モーニング連載中の「バガボンド」(講談社刊)「リアル」「スラムダンク」(集英社刊)など
4/26朝日新聞
コメント
ナガラさんの博学と薀蓄に、改めて、心より敬意を表します。業界(メディア)では新聞広告の価値が下がったと、関係者が苦慮しています。私は策を弄さず、まじめな新聞読者に向かって丁寧な広告を作れば、効果は自ずと認められると思っています。奇をてらったからといって、変わるものではないと思っています。
漫画にまったく興味がありませんでしたが、懐かしい匂いのする原画だと、お聞きして、もう一度、眺めてみます。ありがとうございました。 Goto
私は面白い試みだと思います。
最近、これだけのタッチで描ける漫画家が少なくなったように思います。
ご存知のように、私たちが知っている漫画の背景のスクリーントーンも今は売っていませんし、ホワイトで修正する場面もありません。
漫画を描くのもパソコンの中で、同時並行で外国語版吹き出しも入れ、データ輸出する場合もあるようですので、その意味からも井上さんの肉筆は貴重だと思います。
同時に、この原画は懐かしい匂いがします。
手塚治虫氏の原画を以前見たことがありますが、実際の漫画本のイメージと異なり、柔らかい水彩画のような筆使いでした。
この画も、強い意志を表しているはずなのにラインが優しいですね。
社長ご指摘の『説明を必要とする広告』のことですが、興味ない人はQRコードがあろうとなかろうと、わざわざ探して見ることはないでしょう。
当然、情報も要りません。
一方、スラムダンク・バガボンド世代は、間違いなく喰い付きます。
趣向性の強いイベントの広告としては、目的に適っていて、試みとしても楽しいと思いました。
(とは云っても、見開き二頁を占める広告の、費用対効果はどうなんでしょう…?、気になりますね。)
ありがとうございます。
こんき倶楽部が、彦根市民のエンジョイライフに貢献できればと願っております。何かと不行き届きがあろうと存じます。謙虚にを心掛けていますが、ご批判、ご意見がございましたら、何なりと申し付け下さい。ご指導、ご鞭撻お願い申しあげます。
Goto
いつもお世話になっております。彦根支局のこんきくらぶに毎月広告を掲載していただいている自営業者のものですが。今後とも宜しくお願い致します。