蒟醤(きんま)

漆文化を知らしめるのも広告会社の重要な役割ではないだろうか。
JAPANとは日本だが。漆(うるし)の意味もある。漆といえばすぐに思い浮かぶのが、漆器。
漆器とくれば、飛騨人が丹精込めて作り上げる飛騨春慶。我が家でも慶事の折には。
漆器は光沢が美しい。強靭さを持つ。熱にも。湿気にも。酸やアルカリにも強い。腐敗防止で防虫の役目もする。漆塗りの技術は中国から伝わったのだが全国各地に独自の技法が確立されたようだ。
北は青森の津軽漆器から江戸漆器に石川の輪島塗り。宮城の鳴子漆器に新潟の村上漆器。京漆器に四国香川の讃岐漆器(家具もあるそうだ)。南は沖縄の琉球漆器まで、全国28県に独特の漆文化が花開いている。
技法も飛騨春慶塗のように、木目を生かし、文様を付けないものから、きらびやかな、象嵌の技法に似た沈金(刀で漆の表面を線刻しその彫り跡に金箔や銀箔を刷り込んで文様をつくる)。その沈金の技法で、金銀ではなく、色漆を充填する蒟醤など様々な技法が育まれた。これぞ、日本の地方文化だろう。
で、同じ漆器でこれだけの違ったものがあるのを知って思ったのだが。全国各地の漆器や漆塗りの家具を一同に集めて見てはどうだろう。その地方独特の漆塗り技法を紹介してはどうだろうか。これぞ本当のJAPAN(漆)文化だろう。
こんな取り組みこそ、地方の広告会社(28県の)が手掛けるべき活動ではないだろうかと、頂いた讃岐の無形文化財、漆塗り技法「蒟醤」の花瓶(写真参照)を観賞しながら、ふと、思い付いた。それにしても、見れば見るほど精巧なものだ。ありがとうございました。Goto
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注:蒟醤とは、漆面に色漆を漆象眼したもの。140年前、漆聖玉かじ象谷(たまかじぞうこく)が創案した讃岐地方にのみに伝わる漆塗仕法。

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