怒りの二題

この国の「倫理」はどこへ消えたのか

今回は、はっきり言って怒っている。静かに憤っている、などという生易しいものではない。腹の底から、腸が煮えくり返る類の怒りである。

一つ目。
**プルデンシャル生命保険**の詐欺事件だ。社員が顧客を騙し、金銭を不適切に受け取っていた。関与した社員は100人以上、不正総額は31億円。被害者は500人を超え、不正は1991年から昨年まで――35年間に及ぶという。日本の生命保険会社なら、絶対に許されない。

35年だぞ。日本で開業してからずっとってことだ。
平成が始まり、終わり、令和になっても続いていた。この数字を見て、額面通りに信じろという方が無理だろう。31億円? 500人?「発覚した分がそれだけ」というだけではないのか。

しかも同社は、米国大手保険会社の日本法人。グループ収入は3兆8000億円規模で、明治生命や住友生命を上回る。これほどの巨大企業で、35年間、不正が“見逃されてきた”。

**金融庁**は、ようやく調査に入ったというが、もし仮に、米国資本だから監視が甘かったのだとしたら――それはもう、行政の怠慢どころか、国家としての公平性の崩壊である。国内企業には厳しく、外資には忖度。そんなことが一ミリでもあったのなら、由々しき事態だ。政治的な力が働いていないことを、心底から願う。

二つ目。 これは、さらに情けなく、そして深い怒りを覚える。**東京大学医学部附属病院**での収賄事件だ。救急・集中治療科、皮膚科。教授、准教授という立場の医師が、メーカーから寄付金名目で金を受け取り、さらには高級飲食、銀座のクラブ、性風俗店――饗応のオンパレードである。

ここはどこだ。日本最高峰の医学部、東大医学部ではなかったのか。卒業生には、文豪にして医師の 森鴎外 がいる。彼はこう語ったとされる。「医師たるもの、高潔な倫理観と人格を備えよ。身嗜み、立ち居振る舞いも凛とせよ」と。

それから一世紀。
凛とするどころか、メールで堂々と饗応を要求し、フレンチ、寿司、スッポン、フカヒレ。挙げ句は性風俗。これが、日本最高峰の学問の府の日常なのか。
医学部長は引責辞任を表明した。だが、逃げたらあかん。総長はどうなんだ。

謝罪したそうだが。どれほど立派な訓示を学生に垂れても、現場の教授が金に目がくらみ、倫理を売り渡しているなら、その言葉は空疎な飾りに過ぎない。

そして思う。裏金を作って貰って帳簿にも記載しない。そして一度、総選挙を潜れば「禊ぎは済んだ」。そして今回の総選挙に出馬する。それを認める自民党。

そんな空気がまかり通る一方で、米国には甘く、学問の最高峰では収賄が横行する。日本って、どんな国になったんやと怒りが治らないが。我々庶民には、こんな不正を正す力はない。手が届かないところで、学問の府と権力が腐っていくのを、ただ眺めるしかない。

それでも――我々には、一票だけはある。
誰が、この国をこうしたのか。
誰が、見て見ぬふりをしてきたのか。
それを、よく考えて投じるしかない。

怒りは、無力感に変えてはならない。
怒りは、考え、選び、意思を示すためにある。人の振り見て我が身を糾せ。
だが同時に、権力の側にも、その言葉を突きつけたい。――以上、2月2日の、抑えきれぬ怒りである。Goto

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