豪雨と海雪を制御できる国へ

― 豪雪と豪雨の正体、そして日本の挑戦 ―

立春を迎えたが、この大寒、日本列島は二度、三度と大寒波に襲われた。北海道、東北、日本海側は軒並み豪雪。とりわけ青森市では、先月末に積雪180センチを記録した。なぜ、これほどまでの雪が降るのか。

日本海側の豪雪の主因は「冬型の気圧配置」にある。シベリアから張り出した強い高気圧と、太平洋側の低気圧。その間で北西の季節風が吹きつける。冷たく乾いた空気が、比較的暖かい日本海を渡る際に大量の水蒸気を含み、上空で冷やされ雪雲を形成する。

これが山地にぶつかることで雪が一気に降る。いわゆる「海雪(うみゆき)」だ。

ここに温暖化が絡む。地球温暖化で日本海の海水温は上昇している。空気は暖かいほど水蒸気を多く含める。結果として、雪雲は発達しやすく、短時間に大量の雪を降らせる。

温暖化は「雪を減らす」のではなく、「極端な雪」をもたらしているのが実情である。

雪ではないが、気象庁によれば、気候変動の影響で、ゲリラ豪雨や線状降水帯による大雨を観測した日数は年々増加している。今後も発生頻度は高まると見られている。

そこで注目したいのが、政府が支援する「ムーンショット型研究開発制度」だ。その枠組みで、千葉大学や富山大学などの研究チームが挑んでいるのが、豪雨を“防ぐ”ための人工降雨研究である。

人工豪雨そのものは世界各地で研究されてきたが、災害防止を目的とする研究は世界初という。

メカニズムは合理的だ。豪雨をもたらす夏の積乱雲に似た性質を持ち、かつ発生場所や予測が比較的容易な、日本海の冬の雪雲を対象にする。小型プロペラ機で富山湾近海の上空約3000メートルからドライアイスを散布し、雲内部の氷粒子を増やす。意図的に海上で降水を促し、大気中の水蒸気量を減らすことで、陸域での集中豪雨を防ぐという発想だ。

実に面白い実験ではないか。日本初である点も良い。

滅多に当たらず、しかも金食い虫になりがちな地震予知研究と比べても、毎年確実に被害を生む水害・豪雪対策の方が、費用対効果は高い。雪の量や降る場所を調整できる可能性があるなら、なおさらだ。政府の研究支援枠は、もっと大胆に拡充すべきではないか。

総選挙はポピュリズム全盛、細かな政策や議論が飛び交う。しかし、「水害を減らす研究に予算をつける」という、極めて現実的で未来志向の公約があってもよい。

天をも揺るがす集中豪雨を、人の知恵で減らす。その逆もまた可能だとすれば、これほど知的で、日本らしい挑戦はない。私は、こうした研究にこそ、日本の底力を見る。Goto

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