木をみて森を見ずではねぇ。
慎重居士の気象庁も観念、どう見ても夏だ。でもなかなか宣言しなかった東海地方、
やっと梅雨明けだ。私の好きな夏、真夏です。
「お前は、この猛暑でもゴルフをやるのか?」同年代の御同輩から呆れ顔で聞かれる。
「やりますよ。なんでやらないんですか」
「熱中症になるだろう。喜寿を過ぎた人間が炎天下を歩くなんて、よほどの物好きだ」
「日傘を差して歩けば、風も通って気持ちいいですよ。いっぱい汗をかいて、風呂に飛び込み、枝豆か冷奴をつまみに、キンキンに冷えたビールをグビッ。五臓六腑に染み渡る。これぞ日本の夏。ゴルフの醍醐味じゃありませんか。それに今はカートコース乗り入れもできます」
「年寄りがクーラーの前でテレビの番をしていてどうするんですか。死ぬのを待っているようなものですよ」と、強がってみる。
さて、今日はゴルフの話ではない。
「ビール」の話である。
この10月、ビール党には少しだけ朗報が届く。
酒税法改正により、ビール類の税率が一本化される。
ビールの酒税は350ミリリットル缶1本当たり63.35円から54.25円へ約9円下がる。一方、発泡酒や第三のビールは54.25円へ引き上げられる。「なぜ、こんな面倒なことを何年もかけてやるのか」。
理由は単純だ。ビールは麦芽比率などで税率が高かった。そこでメーカーは企業努力を重ね、発泡酒を開発した。すると売れた。今度は発泡酒に増税。するとメーカーはさらに知恵を絞り、「第三のビール」を生み出した。これも売れた。財務省はまた税率を見直す。
メーカーが知恵を出せば、財務省は税率を考える。まるで「いたちごっこ」である。企業は「どうすれば美味しく、安く飲んでもらえるか」を考える。財務省は「どうすれば同じ税収を確保できるか」を考える。発想の違いが実に面白い。
もっとも、財務省にも言い分はあるだろう。「同じビール類なのに税率が違うのは不公平だ」という理屈だ。確かに理屈は通る。
だが、庶民からすれば「やっと安い酒を見つけた」と思ったら税金が上がる。何とも複雑な気分である。しかも、こんな増税と減税の追いかけっこを繰り返した結果、若者の酒離れもあってビール類市場そのものは縮小してしまった。
木を見て森を見ず。税収ばかり追い掛けて、市場が細ってしまっては本末転倒ではないか。
とはいえ、私はビール党である。この秋からは、ほんの少し安くなるビールをありがたくいただこうと思う。汗を流し、風呂に入り、冷えたビールを一杯。これ以上の贅沢があるだろうか。
財務省殿。
せめて日本の夏くらい、庶民の楽しみに、あまり細かく口を挟まないでいただきたい。
夏はビールだ。これだけは、増税よりも「乾杯」を優先してほしいものである。 Goto


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