宝物が増えました。
二十年以上前の話。イスラエル、テルアビブの郊外。地中海のサンセットが美しい浜のレストラン。テーブルを囲んだ食事風景、おしゃべり好きのユダヤ人。賑やかは賑やかなんだが、何処かが違う。
テーブルの上には、数枚重ねたテーブルクロス替わりの紙と、ワインなど、飲み物のグラスや南欧風(イタメシ)料理、ホークとナイフ。それに、太めの色鉛筆が無造作に放りこまれたコップが置かれている。
一昨日。一緒にいるだけで、周りが明るくなる、そんな若さ(一回り下)が弾ける経営者と食事した。大いに勉強になった。彼の語録を紹介しよう。「ちょっと、待ってよ。メモ出すからね。」
人間には動物にない、本能がある。「相手が喜ぶことが嬉しい」という本能だ。その本能を素直に表現できなければ、人間じゃない。」サービス業の基本は「この人間特有の本能」を発揮すること。
人に年齢は関係ない。還暦、還暦と言わないで。老若は関係ない。大切なことは、一時、一時が始めての出来事であり。始めての体験と思えるかどうかだ。87歳の人が来年88歳を始めて体験できる。と嬉々として話をされたのを聞き、年齢を超越した。
営業現場で、昨日、仕事を断られた。だから、今日、そこへは足が進まない。それは、間違いだ。新たに迎えた今日という日、その今日の始めての出逢い。と思えば、期待に胸が膨らみ。自ずから、笑顔に溢れ、明るく振舞える。自ずから足が運ぶ。営業の極意。
居酒屋の女将が「まあまあ、敷紙にそんなに書いて。今日の料理は二人の会話と、そのメモですね」と。テルアビブ郊外のレストラン風景。どこか違うと思ったのは、どのテーブルにも、ホークとナイフと色鉛筆で、紙のクロスに「殴り書き」のメモが溢れる食事。
彼の言葉を聞き取った殴り書きの敷紙は三枚。その一枚には「ヒトとして生まれ、人間として生きるとは、死を知る事、死を(悲しみ)を感じる事なり」と彼の力強い文字も交じる。
「醤油のシミが付いたテーブルクロス代わりの敷紙に書いたメモ」年末に宝物がひとつ増えた。感謝。
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