帰去来辞

今年も残すところ、あと、二日。
帰省ラッシュが連日報道されていますが、例年に比べ、心なしか移動量が少ない気がします。
我が家も、大晦日は家族全員集合で年越しするのが恒例でしたが、今年は様変わり。嫁いだ娘はご主人の実家で孫と。長男は2日に、江戸からフィアンセと帰省すると。次男は修士論文真っ只中で札幌の研究室で越年だと。
老いて尚、軒昂な母と貫禄を増した家人とでの年越しになりそう。
古里を離れ、都会で、目的地で、厳しい現実と必死に闘い、頑張っている若者たち。
君たちが、年越しの夜、一息入れ周りを見渡したとき、ふと「古里が頭を過ぎる」かもしれない。
そんな時、ぜひ、この詩を読んで欲しい。中国晋の時代の詩人、陶淵明の詩です。
帰去来辞(ききょらいのじ)        
                 陶 淵明
帰去来兮      田園将蕪胡不帰
既自以心為形役 奚惆悵而獨悲
悟已往之不諌   知來者之可追
実迷塗其未遠    覺今是而昨非
舟揺揺以軽揚   風飃飃而吹衣
問征夫以前路   恨晨光之熹微
さぁ、帰ろう。
故郷の田園が今にも荒廃しそうなのに、どうして帰らずにいられようか。
自ら求めて精神を肉体の奴隷と化してしまっているのに、
一人クヨクヨと嘆き悲しんでもどうなるものでもない。
過ぎ去ったことは今更悔やんでも仕方がない。
これからのことは心がけひとつでどうにでもなる。
人生の進路を確かに踏み間違えたが、まだそれほど遠くには来ていない。
役人を辞めた現在こそ正しく、かつての生活が誤りだったことにやっと気づいた。
船はゆらゆらゆれて軽く上下し風はヒュウヒュウとわが衣を吹きつける。
行き合わせた旅人に故郷までの道のりを訪ねるが、
朝の光はまだ薄暗く見通しのきかないのが残念である。
来年は、間違いなしに、故郷再興。地方再生。地方分権の時代が訪れます。
古里は君たちの帰りを待っています。
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