これぞ新聞です

読売新聞・結城和香子編集委員の記事に思わず納得した。
インターネットを開くと、ポータルに最も新しいニュースが飛び込んできます。それも、新聞社が提供するニュースです。大方の若者は、新聞を読むより、ポータルの見出しを見るだけで、ニュースのすべてがわかった気分になり、新聞を読む必要性を感じなくなっています。
だから。新聞の購読者減っているなんて。野暮なことは申しませんが。
新聞の本質は、一般のニュースにあるわけではありません。ネットのポータルに掲載されるニュースなんて、薄っぺらなモノ。本物の新聞記事は論説や編集委員が書く記事です。それを読まずして、新聞はネットのポータルで分かったなんて言わない欲しい。
その例を紹介します。2/22付・結城和香子編集委員が書いた「国際オリンピック委員会(IOC)理事会が決定したレスリングを2020年の五輪競技から除外する問題」の論調です。私も含め日本人の大半は、レスリングは国民的人気の吉田沙保里選手や伊調香選手が活躍しているのだから・・・
感情的になって・・・そんな馬鹿なことがあるのかと、単純に憤ていますが・・・記事をじっくり読みますと。イランと米国、ロシアが連携して反対しようがそんな、程度では、この決定が覆らないことがよくわかります。耳触りの良い記事。感情的な記事には何の意味もない・・・
この記事は、日本人の感情など関係なく冷静に分析されています。これぞ新聞の醍醐味。これでこそ。論説委員であり、解説委員です。(私の友人の新聞記者たちが。将来は論説・編集委員になりたいと、言う気持ちがよくわかります)
前置きが長くなりましたが。レスリングが除外されるのはなぜかの編集記事を要約します。
IOCは、五輪の存続という極めて現実的な目的を追求する組織である。
古代から続く伝統の競技を外すな。五輪史に影響する事柄を少数の理事の思惑で決めるな。と反対理由を並べ立てても。国連の内実が国際平和の理想とほど遠いように。IOC側に倫理や規則上の齟齬がない限り決定は覆らない。
IOCは五輪ボイコットや五輪招致買収事件などの経験から、特定の政治経済的な圧力に屈すれば、批判と干渉を呼ぶことを熟知している。また、レスリング支持の世論にしても五輪招致や他競技を五輪に加える思惑と相いれないと、限界に直面することも知っている。
と記事は問題を分析する。感情論では何ともならない理由がよくわかります。
では、どうすれば、決定が覆るのか。
IOCの内実を知って。内圧で内部を切り崩すしかない。委員の多くが賛同するレトリック組み立て、理事会決定に影響力を作り出せ。
具体的には、競技面はすべて国際競技連盟(IF)が管轄している。IOCの強制力は五輪参加拒否をタテにとった罰則と五輪収入を原資とした資金配分だ。IOCがIFを束ねる真のタガは資金の再配分である。そのためには五輪が「誰もが参加したがる」「スポンサーが開催したがる大会」でなければ資金を集めることができない。
スポーツ離れが懸念される若者にアピールする新競技いれることがスポンサーやテレビの関心を保ちIF束ねることができる。それはIOCの業のようなもの。それが五輪存続という命題に叶うことにもなる。その結果が「査定と入れ替え」である。
だが。この試みはIF権力に切り込むことを意味し、IFの影響力が及びやすい総会で、大きな抵抗に会うこととなりやすい。つまり。記事は、IFの中枢に影響力を発揮して、IOCの内部を切り崩す方法が最も現実的だと、解説している。
ことがことだけに・・・ずいぶん長くなりましたが。なるほどと納得です。
新聞の論説や解説はネットでは取り上げられませんが。これぞ新聞です。Goto

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