トップセールス

各国首脳の経済戦争は激しさを増しています。
IT商品が時代の先端を担う兆候が現れた頃・・・携帯電話を売り込むのに、1000名規模の大デレゲーションを組んで、中国に乗り込んだのは、米国のクリントン大統領でした。私はそのニュースを見て、なぜ、日本の首脳がセールスマンとなっては、自国の商品や技術を海外に売ろうとしないのか?疑問を抱いたことを思い出します。
特定の企業の営業活動やセールスはできない。政治家は商人ではない。同業他社からのクレームが入れば公平性を欠くことになる。そもそも、政治とは公共のためにあって、特定を利するためにあったてはならない。そんな不文律が行政の側にあり、官僚が頑なにそれを守り、政治が引っ張られる・・・そんな風土が日本にはあります。
しかし、時代は変わるものです。ローカルの首長が地産の特産物を中心に海外で営業活動をするのが当たり前の時代になりました。勿論、戸惑っているのは律令制度の名残りが色濃く残る地方公務員・官吏達ではありますが。
「日本の技術を生かしたものだ。ぜひ導入を検討して欲しい」とブラジル大統領に海洋油田開発を熱心に売り込んだのは安倍首相。三菱重工などの洋上中継基地のトップセールス。開発総額20兆円のプロジェクトです。共同声明にも「大統領は留意した」と記されている。(日経・8/4)
憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を閣議決定したことを受け、第三次世界大戦の引き金を日本が引く・・・なんて、妄想的な論調の新聞もありますが。世界の首脳が競っているのは「トップセールス」。ブラジルへの売り込みは「あらゆる分野で経済・貿易の協力の水準を高めよう」・・・
と安倍首相が現地入りする2週間前に呼びかけたのは中国の習近平主席です。習主席はブラジルの鉱山開発企業に50億ドル規模の融資を持ち掛け、アマゾン流域で建設中のダム開発を支援することを合意しました。長期に渡りインフラ投資に中国企業が関わる橋頭堡を築くものです。
クリントン元大統領ではありませんが。日本はトップセールスは欧米諸国や中国、韓国の後塵を拝しています。これこそ、経済戦争です。経済発展を望まぬ新聞社はないと思いますが。首脳外交によるトップセールスは、大企業優先だとの根強い批判が、トップセールスを躊躇させ、経済戦争を不利にしてきたのも事実です。
「日本企業が受注しても、あっという間にひっくり返される」中国が影響力を強める東南アジアに駐在する外交官の声を、なんと聞くのでしょうか?Goto

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