明治・大正期の国内産、陶磁器が里帰り・・・これは凄い。
絵画、骨董の類に全く疎い私です。
勿論、芸術にもさっぱり、日本中行ったことのない県はないほどに、
あちこち訪ねましたが、大半が仕事、目的を果たせば、とんぼ返り。
せっかく、そこまで行ったのなら、なぜ、もう一足伸ばし、
その地にある博物館や美術館など、覗いて見聞を広めないのかと、
自分でも、無精に腹が立つのですが、どうも趣味がないのか、ご縁が無かったのか。
私の尊敬する古い友人。滅多に会わないのですが、その活躍振りに、遠目からですが
いつも敬意を表し、折に触れ、手紙を交わす程度の付き合いですが・・・
彼から、美術館をオープンするので、覗いてみないかと、案内が。
物事を冷静に見つめ判断できる希代の経営者。攻めるとなったら、
とことん遣り切る熱い個性の持ち主。私が尊敬する所以です。
その彼がどんな美術館を・・・と、押っ取り刀で・・・・名古屋市東区葵へ・・
いやはや、ビックリ。さすがですねぇ。目の付け所が違います。
芸術の国といえば、フランス。19世紀以降ですが、フランス芸術家たちの間で、
日本の美術、工芸品が愛好されました。「ジャポニズム」です。
その影響で、欧米マニアたちが挙って、明治、大正時代の日本陶磁器を蒐集。
独創的な陶磁器が輸出されました。名古屋は近在に陶器の産地、瀬戸・多治見が、
特に東区には陶磁器工場が軒を連ね、各地から運び込まれた陶磁器に絵付け施す
「名古屋絵付」と呼ばれる豪華で華やかな作風が誕生・・・
ジャポニズムに魅了された欧米の蒐集家に輸出されました。
近代国家日本の財政が厳しい時代、名古屋絵付けの陶磁器は貴重な、
外貨獲得の輸出産業でした。
で、その美術館。その当時の輸出された陶磁器を海外で蒐集、
逆輸入して展示されています。陶磁器の美術館といえば、どうしても、
古典と申しますか、古いものに価値があるようですが。
いや、そうではない。江戸時代の職人文化が色濃く残る時代、
その技を輸出向け陶磁器に託した・・・そこに目を付け、3000作品を買い戻し、
美術館に収めた。陶器はそもそもが中国、それに日本の文化、伝統が加わり、
さらに、西洋文化を取り入れた作品の数々・・・・
彼曰く「日本国内に様々な美術館はあるが、攻める美術館を造ってみたい」と。
明治・大正時代に創作された輸出陶磁器の「里帰り」品、日本初の洋風陶磁器、
その頃の隅田焼、京焼、瀬戸焼など、まさに攻めに攻めた時代の陶磁器が・・・
芸術の秋・「横山美術館」にお目見え・・・一見の価値があろう。
因みに小中学生には、名古屋文化に触れて欲しいと、参観料無料にしている。
彼に改めて敬意を表し、彼の心意気も同時に、楽しんで頂ければと願う。Goto
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