新聞に未来はあるか。

18歳の意識調査、過半数が新聞に触れたことがない。
仙台で開催された第71回新聞大会が終わりました。
果たして、新聞の未来が見えたのでしょうか。
「新聞命(しんぶんいのち)」の私としては気になるところです。
読売新聞グループ代表は「次の世代を新聞読者は変えてゆけるのか」と
懸念を表明したと朝日新聞は伝えますが。意味がよくわからない。
毎日新聞トップは「業界全体でスクラムを組むことが必要」
NIE(教育に新聞を!)を真摯に取り組もうとの主旨だが、まだまだ手緩い。
朝日の社長は「かつてのように世帯に必ず新聞がある時代ではない。
人々の生活の中に、私たちが持つ質の高いニュースをどう入れていけるかが問われる」と発言、
質の高いニュースとは……が問われているのではないか。上から目線が気になる。
大社長のコメントにコメントする非礼をお許し願いたいが………
「新聞を読もう」と訴える立場から二点指摘したい。
一つは「新聞力を磨く経営戦略」をテーマに新聞社のトップらが議論を交わしたが
朝日社長の弁である「かつてのように家庭に新聞が届けられる時代でない」という
認識ならば、なぜ、夕刊廃止の議論がなされないのか不思議である。
私は夕刊が大好きだ。読み物も充実、毎日新聞のワイド特集など、大胆な切り口で斬新です。
朝日も文化度の高い紙面を提供しています。
でも、夕刊は高度経済成長時代の遺物です。
今や、1日に二度新聞を家庭で開くライフスタイルはどこにあるのか。
私のようにコアなファンはいますが、現実は中部地方に読売の夕刊はない。
岐阜新聞も廃刊した。でも、どこからも、誰からも惜しみ憂う声はない。
夕刊の価値はないのです。腹を括って欲しい。夕刊を継続するエネルギーを未来に。
賢明な経営陣の皆様です。そんなことは承知なはずです。だったら、
なぜ……「経営戦略」で正面から議論がないのか。
平場でない場所ではやっているのでしょうが。お互いの腹の探り合いなんてことなら、
「業界全体でスクラム……」なんて、絵に書いた餅でしょう。
それともう一点です。新聞大会に向けてこんな「18歳の意識調査」が発表されました。
テーマは「新聞」……新聞を読んでいない52%、18歳の過半数が新聞に触れていない。
読まない理由「面倒くさい。読む時間がない」「新聞を取っていない、習慣がない」
「高いから、お金がかかる」と彼らは正直です。
では情報源は何で。「テレビ番組」77%、ソーシャルメディア」40%
ニュースサイト36%、新聞15%だそうです。
信頼できるメディアは何か。テレビ番組が1位。2位が新聞。
信頼する理由は、正しい情報を流していそうだから。わかりやすいなど。
なんとも辛辣な現実です。ほかにも謙虚に学ぶべき興味深い調査がされています。
問題は、新聞を読まなくても情報はテレビで事足りる。それと……新聞が提供している
情報である……ソーシャルメディア、ニュースサイトが彼らの情報源だということです。
つまり、新聞記者が足で取材した情報が元なのに、新聞以外のメディアを情報源に
していることです。タコが足を食べるような話です。
深刻なのは、テレビは情報を得るのがタダです。フリーと言ってもよいでしょう。
ソーシャルメディアもニュースサイトも同様です。
彼らは情報にお金を払わないのが当然だと思う時代の人類なのです。
この調査は18歳の若者ですが、実は社会の風潮を示す写し絵です。
新聞購読者が減少する本当の理由は、情報は無料だと思い始めているのです。
「有料」だから新聞を読まないのです。この調査では52%が読まないとなっていますが、
実態は、70%を優に超えているのではないでしょうか。
情報はタダの時代です。もう新聞の未来がどうあるべきか。
賢明な新聞経営陣はわかっています。どうすべきか、多分、答えはでていると思います。
もちろん、新聞大会が綺麗事で終わる内は、見えないでしょうが。Goto

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