サヨナラ 地球さん。あとは、じぶんで考えてよ。
40年以上前のテレビドラマ。寺内貫太郎一家で、ポスターに向かって「ジュリー」と叫んで
人気を集め、個性的な女優として一斉を風靡した樹木希林さんが亡くなった。
多くのファン、関係者が彼女の死を惜しんでいます。
人間は誰でも、自分を良く見せたい。他人に対して優位でいたい、
人と違う自分でありたい、死んでも良い棺桶に入りたいなど、我欲に溢れています。
人間は誰もが死ぬのですが、どこまでも不老長寿を求めもがいています。
樹木希林さんの晩年の発言を知るに、彼女は独自の死生観を持ち
我欲を貫いた気宇なる女優だったのではないか。
そんな思いを強くする新聞広告が掲載されました。(写真参照)
多分ですが、この広告、死を予期(想定)した上で、スポンサーの「宝島社」と
協議して作られたモノですね。死んだ後に掲載することが約束されて……
写真を見つめ、コピーを読んでみて、新聞広告最高傑作ではないかと、思います。
全ページ広告が二種類あるのは、読売に掲載されたのは「祭壇用」で、
朝日の紙面は「家族用」の記念撮影でしょうか。
読売の「祭壇用」はアインシュタインをもじった作品。
死期を受け入れかつ、機知に富んだ彼女らしい写真です。
コピーが良い。「人間十分生きて自分を使いきったと思えるのが
人間冥利に尽きるんじゃない」「ガンで死ぬって幸せ、死ぬまでの時間を
大切にできるからガンって面白いよ」「いまの世の中って何か問題が起きると、
みんなで徹底的にやっつけるじゃない」、「だから怖い」(メディア批判ですね)
「日本には、『水に流す』って言葉があるけど、桜の花は『水に流す』といったことを
表していると思うの」「何もなかったように散って、また春がくると咲き誇る。
「桜が毎年咲き誇るうちに『水に流す』という考え方を、
もう一度日本人は見直すべきじゃないかしら」
それではみなさん、わたしは水に流されていなくなります。
今まで、好きにさせてくれてありがとう。樹木希林、おしまい。
何とも彼女のイメージ通りの遺言ではないでしょうか。
見事なまでの死生観に、改めて、水に流れ行く彼女を偲びたい。
それにしても、この広告を掲載した宝島社って、以前にも樹木さんを使って
「死ぬときぐらい好きにさせてよ」(2016年)という紙面を提供した、
新聞広告の価値を知る凄い出版会社だと思う。Goto
追伸
朝日に掲載された「祭壇用・家族写真」の広告も秀逸です。
自分は自分の意のままに、周りに振り回されず生きてね。
わたしの話で救われるような人は依存症で良くないわ。と孫たちに語りかける。
10/29読売新聞 10/29朝日新聞
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