政治の仕組み

新聞メディアの力が弱くなりますと、民主主義も歪みます。
米国の話です。「メキシコとの国境に壁をつくる」トランプ大統領の公約です。
中間選挙で勝利した民主党。壁建設の費用が含まれない暫定予算を下院で策定。
トランプ大統領、そんな予算は承諾できぬと、拒否しました。
その予算には連邦政府職員の給与も。政府機関が閉鎖されました。
入国管理官、連邦捜査局の職員などが働かないと、国家維持の根幹が壊れ、
国家が成り立たなくなります。ですから、彼らは無給でも働いています。
が、他の人たちは自宅待機です。緊急予算で急場はしのいだのですが。異常事態です。
トランプ大統領です。壁建設費用を含んだ予算案が成立しなければ、
政府機関は今後も閉鎖が続くと凄み、民主党を牽制しています。
なんでこんなことになるのか。
米国では大統領に予算をつくる権限がありません。
「壁建設は公約だから予算に入れてくれ」と懇願しても、
予算編成する議会で多数を握る民主党が応じなければ、予算は組まれません。
でも、大統領が署名しなければ、これまた予算は成立しない仕組みです。
二元代表制を徹底する米国のシステムです。それが良いのか悪いのかは別として、
大統領を支持する共和党の議席がないと、こうなります。
今では、まるでチキンゲームのようです。
日本では予算案は内閣府がつくり、国会に提案します。
衆参で賛否が分かれても、議員内閣制ですから、衆院は与党が多数を持っていて、
首相を選びますので、衆院は通過します。衆院を通過すれば、
「衆議院の優越」という制度があり、新年度に間に合わないことがあれば衆院で
暫定予算を可決し、国家公務員の給与が支払われないことはありません。
日米のこの違いは政治体制の違いによって起こるのですが、
私はそれだけではないと思います。
二つのことを考えます。日本は律令国家です。建前と違い政治よりも官僚の方が力がある。
官僚が只働きをすることはないし、そんなことを世論、即ちメディアが許しません。
米国は民主主義制度の国です。選挙結果は国民が決めたことです。
この状態が起こっても、その責任は国民にあるとの自覚が根底にあります。
それと、米国の新聞メディアの力が、弱くなり過ぎて、正論が通らなくなりました。
新聞の大切さを思い知らされます。Goto

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