19兆円国際収支黒字

結構危険な状況下にあるのではないでしょうか。
大きなことを申しても、現実味がなくてピンとこないのですが、
でも、大きな枠で物事を見るのも大切ではないでしょうか。
個人でも家庭でも会社でも、それぞれの組織でもですが、
一つのユニットで収支があっているか、それとも赤字なのか。
月々でチェックし、対策を立てるのは誰もが、経験しているのでしょうが。
国家の単位となると、途端に自分とは関係ない、なんて気にも掛けない人がいますが、
考えてみて下さい。国家の収支が黒字であれば、国が潤っているのですから、
大局的には国民は幸せに暮らすことができます。
赤字になりますと、必ずどこかに歪みが生じます。
その意味でも国家の収支を気にしないといけませんね。
2018年の「国際収支統計」を財務省が発表しました。
財務省は毎月、国の収支を発表していますので、その集計です。合計すれば、わかる話です。
でも、いざ数字を見てみますと、やはり日本はしたたかに稼いでいます。
19兆932億円、年間のこの国の黒字額です。(多いと思うか、まだまだと思うか)
この3年間、順調に右肩を上げてきましたが、前年比では13%のマイナスでした。
原因は貿易収支が76.0%減だったから。でも黒字額は1兆1877億円です。
内容的には、米国向け自動車の輸出が鈍化。東南アジアなどへの半導体製造が振るわなかった。
と分析されていますが、本質は原油価格が年平均1バレル72ドル、
前年より34%上昇、原油や液化ガスが増えたからです。
そうなんです。貿易収支を左右するのは、輸入の中心である原油価格です。
原油が高騰すれば、貿易収支の黒字など、すぐにぶっ飛ぶのが現状です。
この軟弱な体質と流れを変えねばと、代替エネルギー対策などが行われているのですが、
結局は中途半端で終わっています。
しかし、時代は大きく変わっています。
日本の稼ぎは大きく二つ……海外の子会社から受け取る配当金などの直接投資が10兆308億円。
9兆8529億円が証券などの間接投資収益です。この二つを所得収支といい、伸び率は4.9%です。
この国の経常収支は所得収支によって支えられています。
そのことも、私達は理解しなくてはなりません。
貿易収支で気になるのは、半導体製造が東南アジアで振るわなかったことです。
一時期は日本の半導体は世界を席巻していました。それが、中国や台湾、韓国に追い上げられ、
そのシェアを著しく落としていることです。
半導体だけではありません。数字が小さいので表には出にくいのですが、
日本の中核的輸出製品、十八番だった、太陽電池、光ディスク、
リチウムイオンバッテリーなど軒並みに輸出額が減少しています。
通信の基幹技術5Gに至っては、輸出どころか、大半が輸入です。
貿易収支は、原油価格に左右されるのは今も昔も変わらないとしても、
技術国日本が黒字の源だったのが、今では、そこが危ない状況にあること……
そんな分析は表に出ないのですが……これこそが問題だと私は思います。
では、所得収支でもっと稼げば良いではないかとなりますと。
海外の子会社が稼ぐということは、国内に産業の基盤がなくなってしまうということです。
間接投資に至っては、それこそ、今後はAIやビッグデータが収益に貢献する時代です。
その技術でも大幅に遅れを取っている現状、いつかは間接投資でも稼げなくなります。
大きな話ですが。年間19兆円、稼げる今の内に、
国のあるべき姿を見出さないと、それこそ、あっと言う間に、
赤字国に転落してしまいます。杞憂に終われば良いのですが。Goto

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