平均値と中央値の違い。統計は注意深く見る必要がありますね。
ちょっと整理してみましょう。通常国会が始まってから
延々と議論が続き、新聞を賑わしている……厚労省の「毎月勤労統計」の調査が
正しく実施されていなかった問題です。
この調査は「統計法」という法律に則り、大正12年からスタート。
厚労省が管轄し、国民の重要統計調査であり基幹統計調査と位置づけられています。
目的は「賃金、労働時間、雇用の変動を明らかにすること」です。
政府が推し進める「働き方改革」の基幹データとなっています。
その調査がまやかしであり、手抜きによるものであれば、政策の根本が揺らいでしまいます。
官製春闘と揶揄されての賃金の上昇
求人倍率が全国平均でも1倍を越し、失業率が数パーセントに減少した。
あるいは、ブラック企業追放とメディアが書き立てる「労働時間」の短縮など、
安倍政権が声高に叫ぶ「アベノミクス」の成果が疑われることになります。
安倍政権の経済政策の三本の矢と称して、金融緩和、財政出動されたことにより、
時給が上昇したことは確かです。景気と関係があるのでしょう未曾有の求人難、
雇用が促進されているのも事実です。
株価が上がり、円安効果で輸出企業が元気になり景気が回復、
「戦後最長の好況」であることも、これまた、統計的に明らかです。
但し、この統計も不正があるのではと思いたいほど、実感と乖離しています。
実感と調査結果といえば……日本の世帯平均所得(平成28年、厚労省調査)
560万2000円だそうですが。納得できますか。そんな……とため息では。
問題は「平均」です。分母に関係なく、所得の高い人がいると「平均」が急上昇します。
「中央値」という統計の取り方があります。
一世帯あたりの所得を高い順に並べ、その真ん中の所得はと計るのです。
そうすると、560万は、424万に下ります。そうかと思える人が増えるでしょう。
整理します。「毎月勤労統計」の調査は、従業員500人以上の事業所は
「全数調査」が基本なのですが、厚労省は勝手に3分の1だけを抜粋して調査していたのです。
アベノミクスによって賃金が上昇したと言いたいばかりに、
所得の高い人ばかりを集めて平均値を上げていたのではと…野党が追及しています。
実体は定かではありませんが。統計の定義からしますと、
「多数の構成要素からなる集団において、各要素の観察によって得た数値を処理して
集団の性質傾向を明らかにする」のが統計です。
単発で調査する静態統計と継続して調査を続ける動態統計があります。
「毎月勤労統計」は厚労省が継続的に調査する統計法に沿った「官庁統計」です。
これが揺らいでは、とてもじゃないが、何を信頼して良いのか、わかりませんね。
時の政権が思うに任せていじるならば、それこそ、大問題です。
ましてや、厚労省が忖度して、いじったなら。とても健全な国家とは言えません。Goto
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