Media Times

新聞にジャーナリズム機能は必要か否か。
朝日新聞に「Media Times」というコーナーがある。土曜日の紙面です。
7/13日の内容は新聞業界が販売部数の低迷や広告の落ち込みで、
厳しい状況にあると、規模の小さい地域紙の現状を取り上げている。
私的には取り上げる新聞が、茨城県で発行していた「常陽新聞」が廃刊後に
発行を始めた「「NEWつくば」と新潟県上越市を中心とする「上越タイムズ」では、
新聞が置かれている現状を描いていないと不満だが、新聞の将来を考える上で面白い。
「NEWつくば」は常陽新聞のOBたちでつくる「ネット新聞」……収入源は寄付、バナー広告
ケーブルテレビへのコンテンツ販売など。米国では部数減から地方紙が
姿を消しているが、寄付文化を活用しネットに特化したジャーナリズム組織が誕生している。
「NEWつくば」もその路線で約20名の記者が行政の監視を怠らない。
「権力監視の役割を果たすことが、市民に読まれるメディアとして評価を高める」と
ジャーナリズム機能を高めることで、生き残りを掛ける。
一方、「上越タイムズ」は「従来のジャーナリズムには一切こだわらない」
全国紙地方版モデルでは購読数は伸びず、赤字続き、編集方針を変更、
権力監視型のジャーナリズムとは決別……地元で頑張る人々や編集権を一部解放、
各種団体に紙面を提供する。記者からは猛反発を受けたが99年7千部だった部数が
09年では2万部に。現在も2万部を保っているとか。
「上越タイムズ」は「行政を批判するばかりではなく、褒めるところは褒め、
頑張っている人たちを取り上げる。地域を良くするためにあるのが、
地域ジャーナリズム」との新しい概念をベースに発行している。
なぜ、朝日新聞がMedia Timesでこの二紙を取りあげたのか。
ジャーナリズム機能を持たねば、新聞ではないのではないか。
そんな朝日の姿勢を取り上げたのだろうが、私はこんな見方をする。
「NEWつくば」は、この発想では早晩行き詰まるであろう。
理由は至って簡単である。ネット新聞のマネタイズに言及していない。
読者からの課金が発想されていない。このビジネスモデルでは
趣味の域をでることは困難である。
「上越タイムズ」は日刊紙に必要である「新聞を読んでハッピーになる」
その視点に注目したのは重要だが、2万部以上に読者が増えないのが
限界を意味しているのではないか。
日本新聞協会の調べでは、加盟する日刊紙117紙、昨年の発行部数は約3990万部。
00年には5370万部あったのに比べ26%減少である。今も尚、歯止めはかかってはいない。
ジャーナリズム機能と新聞、尽きない問題だが……
「窮して変じて通ず」と申すが、朝日新聞のこのコーナーから、
大新聞の窮している姿が浮かばない。変ずるにはまだまだ、時間か掛かるのか。
それとも……ジャーナリズムとはを、もう一度考えるべきか。Goto

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