お手並み拝見

経営数値と理念を訴えずして、郵政の再建ってありますか。
日本郵政グループの首脳陣がかんぽ生命の不正販売問題で引責辞任。
グループの新社長には改革派といわれた元岩手県知事、
元総務相で前回の東京都知事選にも出馬した増田寛也氏が就任した。
火中の栗を拾った増田氏は、郵政民営化委員会の委員長を歴任するなど、
郵政行政にも精通し経験豊富で人脈も見識もある。官邸としては満を持しての人事。
「かんぽ生命」の不正契約による被害者は数万人に達するといわれ社会問題化している。
その手腕が期待される。
幹部を前にした就任会見での発言を新聞で読んだ。
「グループにとって創立以来最大の危機」「危機感を共有し、緊張感を持つ必要がある」
と檄を飛ばし、「悪いニュースこそアンテナを高くして解決策を見つけて、社内の常識が
正しいかどうかを検証を」と旧郵政の古い役所体質を指摘、組織風土の改善に言及した。
相当な意気込みである。「かんぽ生命」の問題がグループ全体の体質にあると、
大上段に振り被った気負いは事が事だけに理解できるが。
果たして思い通りにいくのかどうか。些か疑問に思う。
どこが疑問か。新聞記事だけで判断するのはおこがましいが、二点だけ指摘しておきたい。
一つは、日本郵政グループは「株式会社」です。
不祥事の解決とは即ち、経営再建に他ならない。
発言に流れる発想に「経営目標」が見えない。
少なくとも、不正の事実解明や関与した職員の検証や処分を「第三者委員会を組織」して、
などというお決まりの調査からスタートするなんて、そんな発想では、
10年かかっても解決しないだろう。むしろ、しがらみがない新社長ならば、
「かんぽ生命」については司直の手に委ねるべきだ。それが、全組織を震撼させ、
「古い役所体質」を一掃する方法ではないか。
「経営数値」を明らかにして「その目標に向かって」全社一丸となるべく努力すべきではないか。そんなことはわかっていると言われるかもしれないが、「民営」とはそういうことだ。
もう一つは「経営理念」が見えないことだ。
郵政事業は「何のために」あるのか。グループの存在意義が示されていない。
あのJALを短期間で再建した稲盛和夫氏に謙虚に見習うべきではないか。
「飛行機を飛ばす目的は、安全で安心して、お客様を目的地にお運びすること」と
青臭いかもしれないが、目的を明確にして、再建に着手した。
理念などわかっていると、必ず言うであろう。
旧郵政の体質を変えねばと、訴えることこそ、わかっていないのだ。
と、偉そうに思うのだが、さて、どうなりますやら。
増田新社長のお手並み拝見と致しましょうか?Goto

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