台湾・蔡総統再選に思う

新聞を読もう。「監視」と「自由」どちらの社会を望みますか。
世界中で最も「国民の監視が強い国」はどこでしょうか。
技術的に、その気になれば、全ての国民を監視する能力があるのは米国です。
でも、そこまではやりません。民主主義の国です。人権を重んじるからです。
EU各国はどうでしょうか。英国ロンドンには約100万台の監視カメラが設置され、
街を行き交う全ての人を捕捉できるようになっています。
しかし、目的外の使用は禁止されています。
ではどこか。そうです。中国です。何のためにかと申しますと、
目的は明白です。一党独裁を堅持し中国共産党政権を維持するためです。
ですから、反体制の考え方をする人は徹底的に監視されます。
大きな国です。地方がどうかはわかりませんが、
都市部では世界屈指の監視カメラと顔認証技術やAIの発達により歩行者の姿で、
人物の特定は99%可能だと云われています。誰がどこで何をしているのかなどは
当然のこと、何を考えどのように生きようとしているのかも把握できるのです。
徹底した監視社会です。自由を監視するのですから、恐ろしいことです。
その中国が、監視を強化しているにも拘らず、なんとも歯痒いと思っているのが
一国二制度をとっている香港です。犯罪者を中国の本土に引き渡す条例に反対しての
一連の「反体制運動」はご案内の通りです。世界のメディアが現状をしっかりと
「監視」して報道するものですから、中国は鎮圧することができません。
その影響もあり、中国の同化政策を嫌った台湾の国民は総統選挙で、
中国との距離を置く民進党の蔡総統が圧倒的な得票数で勝利しました。
「今日の香港は明日の台湾」とのキャッチフレーズ、台湾国民のみならず、
自由主義の国民の心にズシリと響きます。
中国は、再選された蔡総統への「祝意」を示した米・英・日に対して
敵意を剥き出しに「内政干渉」だと声明を出しました。
民主主義の根幹は選挙です。独裁政権で選挙のない国が、
台湾国民が正統な選挙で選んだ指導者に祝意を送る国を批判する権利などありません。
政治はイデオロギー対立の時代ではない。ソ連の崩壊以降そう言われています。
では、どんな時代でしょうか。「監視」と「自由」の時代ではないでしょうか。
ネット社会は諸刃の剣です。新聞を始めとする報道メディアが存在しなければ、
いつのまにか、国民は監視によって権力の思い通りの社会にされ、
自由が奪われてしまうのではないか。そんな危惧をします。
敢えて申し上げます。香港が辛うじて自由を維持しているのも、
台湾が中国に飲み込まれずにギリギリの民主主義体制を維持できるのも、
真っ当なメディアが存在するからです。
メディアの盟主は新聞です。新聞の購読者が減少しています。
新聞社は、記者を削減しています。新聞の危機です。
「自由」な社会のために、新聞を読もうではありませんか。Goto

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